埋められたレール、「特例」のアスファルト舗装
都電は、一部の区間(専用軌道)を除き、「併用軌道」と呼ばれた道路の上に敷かれた線路を走っていた。都電が廃止されると、道路上のレールは撤去しなければならなかったが、都電が相次ぎ廃止された当時は「特例」として、アスファルト舗装により埋めるだけで良いものとされた。
埋められたレールは、時間の経過や様々な要因によって道路上に見え隠れすることもあった。こうした都電の痕跡が確認できる場所が、2000年代初頭までは少なからず存在した。今から40年前の1980年代の半ばには、道路工事が行われていた銀座の目抜き通り〔中央通り/国道15号〕で、都電のレールが掘り起こされているのをこの目で見たことがある。
当時は、昨今のように気軽に写真が撮れる時代ではなかった。この時は、カメラを持ち合わせていなかったこともあり、写真に残せなかったことを今でも悔やんでいる。この中央通りの歩道上にある敷石は、1967(昭和42)年に廃止された都電の軌道上に敷かれていた御影石(30cm×60cm)を再利用したものだ。廃止から58年を経た令和の今でも、銀座の街中に都電の面影を感じることができる。

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