×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

「うちの近所に都電のレールが浮き出ている道路がある」

道路に埋められたレールは、東京都建設局が台帳で管理していた時代もあった。しかし現在では、そのほとんどが道路の改修や拡幅工事などにより撤去されているため、台帳管理は行われていないという。では、今でも道路の下に眠ったままのレールは存在しているのだろうか。

以前、住まい探しをしているときに、不動産業を営む知人から「うちの近所に都電のレールが浮き出ている道路がある」と教えられたことがあった。その場所は、JR田町駅とゆりかもめ芝浦ふ頭駅とを結んだ、ほぼ中間に位置するあたりだった。この付近を走っていた都電のことを調べてみると、「芝浦線」と呼ばれた路線に辿り着いた。JR浜松町駅とJR田町駅との中間地点に位置する、国道15号〔第一京浜〕の芝四丁目交差点付近にあった都電の停留場「東京港口」(かつて同名のバス停があった)から分岐して、都電芝浦工場とを結ぶ路線だった。

芝浦線が開設されたのは1910(明治43)年のことで、今の芝浦アイランド(港区芝4丁目)にあった都電の車両工場(当時は東京市電気局の車両工場)の完成とともに、車両を回送するための路線として開業した。かつては、乗客を乗せて走っていたこともあったが、1944(昭和19)年に旅客輸送を廃止し、その後は1969(昭和44)年まで都電の回送線として存在していた。

道路に浮き出たレールは、知人に教えられたとおり港区芝浦2丁目交差点付近にあった。地面をよく見てみると、ところどころにキラリと光るレールが顔をのぞかせ、レールのシルエットが道路上に浮かび上がっていた。

旧海岸通りの芝浦2丁目交差点とクロスする道路に都電のレールはあった。正面に見る高層マンションが芝浦アイランドエアタワー=2025年9月20日、港区芝浦
都電のレール跡は、道路の末端に位置していた=港区設置の案内板より〔一部加筆/筆者〕
道路に浮かびあがる都電のレール。道路の末端に位置していたことが、撤去されずにいた理由であろう=2025年9月20日、港区芝浦
アスファルトの隙間から顔をのぞかせるレール=2025年9月20日、港区芝浦
レールの先にある“芝浦西運河”には、都電の車両工場へと渡る「船路橋(ふなじばし)」が架かっていた。工場があった場所は“芝浦アイランド”に生まれ変わっている=2025年9月20日、港区芝浦
次のページ
架け替えられた「船路橋(ふなじばし)」
icon-next-galary
icon-prev 1 2 3 4icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

工藤直通
工藤直通

工藤直通

おとなの自動車保険

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌『おとなの週末』。2025年9月16日発売の10月号では、学生街…