コロナ禍を挟んだ令和の時代
令和の時代になってからは、特にコロナ禍を挟んだこともあり、2019(令和元)年12月から2023(令和5)年7月までは、新幹線や他の鉄道を含めたお召列車の運転は行われていない。両陛下は即位後、この10月までの間に東海道、東北、上越の各新幹線へ公務と御静養で16回乗車された。
このほかでは、上皇、上皇后両陛下が明治天皇山陵へのご参拝のほか那須御用邸や長野県での静養のため、東海道、東北、北陸新幹線へ18回乗車されている。皇族方ではつい先ごろ、悠仁親王殿下、佳子内親王殿下も東海道新幹線を利用された。
現在、新幹線お召列車を利用できる御身位の方は、天皇陛下、皇后陛下、上皇陛下、上皇后陛下に限られる。皇嗣のお立場にある秋篠宮殿下と同妃殿下は、他の皇族方と同様に通常運行される新幹線を必要な座席数だけ借り上げる方法で乗車されているのが実情だ。これは、新幹線に限らず他の在来線や私鉄でも同様の扱いとなっている。
来月(令和7年11月)には、天皇、皇后両陛下ご臨席のもと、三重県で第44回全国海づくり大会が開催される。東京から同県までは、新幹線と近鉄特急を乗り継ぎ現地入りされる予定だ。新幹線お召列車の活躍が見られる絶好の機会となるだろう。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会・皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。