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圧倒的なボリューム感

Z32のエクステリアデザインをひと言で表現するなら、『ボリューム感』だろう。鋭いエッジなどを駆使することでスポーツカーをアピールするのではなく、張りのある曲面により圧倒的なボリューム感を演出していた。Z32の肉感的なデザインは、当時の日本車にはないテイストで、圧倒的なボリューム感は新たな境地を切り拓いたが、追従するモデルは日産、他メーカーともなかった。

Z32の実車を初めて見た時は震えた

Z32(2シーター)のボディサイズは全長4310×全幅1790×全高1250mm(現行のRZ34は全長4380×全幅1845×全高1315mm)。当時の日本車としては群を抜いてワイドなボディが、デザインによりさらに大きく見えた。伝統的なロングノーズ&ショートデッキスタイルしていたが、初代、2代目のような繊細さはないが、新世代のZにふさわしいデザインが与えられていた。

2by2と2シーターではホイールベース長が変えられていた

前澤義男氏がデザイン

Z31を彷彿とさせながらも明らかに新しいフロントマスクでは、特にサメをイメージさせるヘッドライトもグッド。ちなみにこのヘッドライトユニットだが、リトラクタブルから固定式に変更された後期型のランボルギーニディアブロにも使われていたのは有名。そのヘッドライトユニットには日産マークが入っていたという情報もあったが、筆者は確認していない。

後期型のディアブロのヘッドライトはZ32のものを使用

特に美しいのがリアエンドでブラックアウトされたリアエンドによりボリューム感のあるデザインをグッと引き締めていた。スリットの入ったような意匠のラコンビランプも個性を存分に発揮。現行のRZ32のデザインは、過去へのオマージュがテーマになっているが、リアコンビランプはZ32のデザインをオマージュしている。

この秀逸なZ32をデザインしたのは前澤義雄氏。前澤氏は「クルマのデザインで最も大切なのは時間的耐久性」と常々おっしゃっていた。その心はトレンドを追うだけでは、そのトレンドが去った後は古臭くなるので、重要なのは基本ということと解釈しているが、「前澤さん、Z32のデザインは今見ても新鮮ですよ」。

スリット状のデザインが斬新だったZ32のリアコンビ

日本車初の280psカー

Z32の目玉はエンジン。2960cc、V6DOHCのNAとツインターボをラインナップ。NAは最高出力230ps/6400rpm、最大トルク27.4kgm/4800rpm 。それに対しツインターボは最高出力280ps/6400rpm、最大トルク39.6kgm/3600rpmをマーク。発表されたのはスカイラインGT-R(R32型)のほうが先だったが、発売されたのはフェアレディZのほうが先だった。つまり、日本車初の280psモデルなのだ。GT-Rが2.6Lに対しZ32は3Lだったため、排気量の大きさによりトルクはGT-Rを凌駕していたので、当時の日産車の頂点のスペックが与えられていた。

同じ280psでもGT-RのRB26DETTとはフィールがまったく違う

当時の日本はクルマの事故が増えていた。その要因はクルマのハイパワー化とは無縁ではないと考えていた運輸省(現国交省)は闇雲にパワー競争が激化することを危惧。Z32、スカイラインGT-R(R32型)は認可されたものの、これ以上のハイパワーは不要と判断。Z32の登場は悪しき280ps規制のきっかけとなったのだ。もし、Z32が350psで登場していれば、日本のクルマ界は変わっていたはずだ。その前に認可されなかったかもしれないが……。

このアングルは美しい!!
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価格は330万~440万円
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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