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価格は330万~440万円

RZ32のモデル構成は多岐にわたっていた。前述のとおりエンジンはNAとターボの2種類。そしてボディタイプは2シーターとZ伝統の4人乗りモデル2by2。トランスミッションは5速MTと4速AT。さらにルーフは標準ルーフ(クローズド)とTバールーフ。これらを掛け合わせて、デビュー時には12タイプがラインナップされていた。価格帯は330万~440万円となっていた。あの内容のクルマがこの価格で買えたと思うと現状は悲しすぎる。

快適性を求める人にはTバールーフが人気だったが、走り屋からはボディ剛性が落ちると不評

Zがデビューした当時はバブル直前で日本も未曽有の好景気だったこともあり、街中で使うのがメインの人に最も人気があったのは、最上位の3Lツインターボ、4AT、2by2、Tバールーフ(440万円)だった。一方、走り屋に人気があったのは3Lツインターボ、5MT、2シーター、標準ルーフ(410万円)。

1992年にはフルオープンモデルのコンバーチブルが追加された。ソフトトップは雰囲気がよかったのだが、ボディ剛性確保のためリアにロールバーが大きく装着されていたのはオープン好きにとっては少々興ざめだった。

エレガントなオープンのカブリオレだったが、ロールバーが興ざめ

スポーツカーとしてトータル性能が高かったZ32

Z32のキャッチフレーズは『スポーツカーに乗ろうと思う』というもの。ZはGTカーでスポーツカーではない、という反論は当時もあったが、何より日産は90年代に技術で世界一となることをスローガンとした901運動を展開中で、どのモデルも走りに力を入れていて、Z32はR32型GT-RをはじめとするR32スカイライン系と双璧をなした看板モデル。

サーキットでは重さがかなり足を引っ張った

ではZの走りはどうだったのか? 実はこれ、R32GT-Rの存在が大きく足かせになっていたのは否定できない。北米マーケットをメインとする世界で最もコスパに優れたスポーツカーを目指して開発されたZ32に対しR32型GT-Rは当時のツーリングカーレースで勝つために生まれたクルマだ。そもそも素性、与えられたミッションが違いすぎるのだ。

世界最高峰のアスリートとして仕上げられたR32GT-Rは一切の妥協もなく速く走るために開発されたが、Z32は街中での快適性、アメリカのハイウェイを高速クルージングが大きなターゲットとなっていた。

巨大なトルクを活かした加速性能は素晴らしかった

エンジン、サス、駆動方式など何から何まで違うなか、スポーツカーとして最大の違いは車重。R32型GT-Rが1430kgとぜい肉をそぎ落としていたのに対し、Z32は100kg近く思い1500kg超。スポーツカーにとってこの約100kgの重量差は致命的で、エンジンの最大トルクではZ32のほうが大きかったが、加速性能、コーナリング性能ともR32型GT-Rにはかなわなかった。

では、Z32はダメグルマだったのかといえばまったくそんなことはなく、街中で使うスポーツカーとして重要な快適性、乗り心地などトータル性能ではZ32は非常に優れていた。ベストはツインターボ+4ATと言われていたのはそういった理由があるのだ。

2by2のインテリア。普段の使い勝手を考えると+2の余裕は大きい

Zの柳田氏も新車購入

フェアレディZといえば、『Zの柳田』こと柳田春人氏。柳田氏はセントラル20というフェアレディZ専門店を1978年に設立して以来(まもなく50周年!!)、全国のフェアレディZオーナー、Zに憧れる人にとっての聖地となっている。

その柳田氏は、Z32のデビュー時を以下のように振り返る。「Z32がアメリカで発表されたのを見て日本での発売を前にオーダーを入れてツインターボの2シーター(4AT)の黒を新車購入。ベストカーの取材で広報車を見た時、シルバーも黄色もよくてちょっと後悔したかな。ツインターボは回転とともにパワーが盛り上がるタイプで唐突感はいっさいないので、乗っていると速いって感じはあまりなく、気づけばスピードが出ている感じ。個人的にはもう少しドッカン系だったらよかったと感じたけど、街中や高速で乗る、長期間乗るということを考えると、うまくセッティングしていたなと思う。ただあの車格でステアリングのチルト機構がついていなかったのは残念だった」

1989年のベストカーのZ32試乗取材時のカット。柳田氏(右)と鈴木利男氏(左)
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川口能活氏とZ32
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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