カラフルな「国電」が誕生
国鉄(現JR)の車両にカラフルな色を身にまとった電車が登場したのは、1950(昭和25)年のことで、“湘南電車”と呼ばれたオレンジとグリーンに塗られた「みかん」を連想させる配色が好評を博した。そこで、チョコレート色だった「国電(こくでん=国鉄電車のこと)」にも、路線ごとに車両の色を変えてみてはどうか、という話になった。
この「ラインカラー構想」は、中央線をオレンジ色、山手線は緑色、中央・総武各駅停車は黄色というように、路線ごとに異なる色を塗ってみてはどうか、というものだった。この計画は、1959(昭和34)年から順次実施され、当時は「乗客の誤乗防止」や「路線案内がスムーズになった」と好評を得た。山手線の色は、1961(昭和36)年からで、当初は「カナリア・イエロー」と呼ばれる黄色だった。その2年後に、現在の「ウグイス色」と呼ばれるミドリ色に変更された。
山手線にまつわる100年
2025(令和7)年11月1日は、山手線が環状運転を開始して100周年を迎えた。さまざまなキャンペーンが実施され、実際の電車にも昔活躍した車両をイメージした復刻デザインを車体の前面にラッピングした2編成が、期間限定(10月4日~11月3日まで)で走っている。
思い起こせば、1985(昭和60)年にも山手線で100周年を祝っていた。この時は、山手線の礎となった日本鉄道の品川線(品川駅~赤羽駅間)が開業して100年という節目の年だった。この頃は、ウグイス色の電車からキラキラしたステンレス製の電車(205系)へと世代交代がはじまった頃だった。それからすでに39年。車両も103系→205系→E231系と代わり、現在はE235系が活躍する。時が経つのは早いものだ。


文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、鉄道友の会会員。













