鉄道ファン注目の鉄道車両輸送
新しい鉄道車両に、いち早くお目にかかることができるのも鉄道車両輸送の醍醐味だ、という鉄道ファンも多い。特に、JR線などを貨物列車として走る時は、「注目の的」というわけだ。もちろん、夜間に行われる陸送にも大勢の鉄道ファンは集まる。
以前は、鉄道情報誌に“新車輸送”の運転日や運転時刻が掲載されていたが、あまりにも多くの鉄道ファンが集まり過ぎるためか、いつのまにか情報の掲載は見送られるようになった。それでも、蛇の道はヘビである。新車輸送が行われるとなれば、大勢の鉄道ファンがカメラ片手に押し寄せる光景は、今も変わらない。
車両メーカーからJR線で貨物輸送される新しい電車は、同じ線路幅の車両に限られたことではなく、例外もある。線路幅が1435㎜の鉄道車両をJRの線路上(1067mm)を輸送する場合、JRの線路幅に合わせた仮の台車(車輪)を履かせて回送するケースだ。JR線とつながっていない鉄道事業者の場合には、最寄りの貨物駅までJR線で貨物輸送され、そこから陸送で車両基地へと向かう。また、車両メーカーから自社線が直につながっている鉄道事業者の場合は、メーカー出荷時点から“自走”できるように手続きを行い、回送するケースもある。
地下鉄や路面電車の場合、車両メーカーから道路上をトレーラで陸送し、自社の車両基地まで運ぶこともあれば、途中までJR在来線の線路上を鉄道貨物として運び、自社線の最寄りにある貨物駅などからトレーラーで陸送するケースもある。鉄輪ではなく、ゴムタイヤを履くモノレールや新交通システムの場合には、車両メーカーからトレーラに載せて、直接陸送する。
余談ではあるが、JRの線路上を鉄道貨物として運ぶことを、専門的には「甲種鉄道車両輸送」といい、甲種とは自分の車輪(台車)で回送できる状態をいう。例えば、路面電車などの小型の車体を別の貨車に載せて運ぶ場合は“乙種”となるが、現在ではこの方法による鉄道貨物輸送は行われていない。
今から40年以上前、甲種鉄道車両輸送を撮影する鉄道ファンは少なかった。もちろん、夜間に行われる陸送などは、数人いるかいないかという状況だった。限られたフイルムの消費枚数を気にしながら撮影していた時代ゆえ、今のデジカメ世代をうらやましく思う。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。











