煮込みとワインを取り持つ名立役者は、「パン」でした。東京・清澄白河のパン屋『CIEST(チェスト)』には入口がふたつある。ひとつは“パンの入口”、反対側には“ワインの入口”と書いてあり、大変わかりやすい。店内は中で繋がっているが、“ワインの入口”から入ると、立ち飲みスペースでワインと料理が楽しめる流れだ。
パン屋の立ち飲みで食べる煮込みとワインが旨すぎた……
『パーラー江古田』でパンを、『清澄白河 フジマル醸造所』でワインと料理を学んだ西野文也さん。彼が手がける『チェスト』は、2025年春に船堀から清澄白河に引っ越した。新しい店は立ち飲みスペースも広がり、ますますワイン好きの注目を集めている。そしてうれしいことに、この店のメニューには常時3~4種の煮込みが並ぶ。
「パンと煮込みは相思相愛の関係だし、もちろんパンとワインだけでも成立します。でも、パンとワインと煮込みが揃うと、きれいな三角形ができあがる」と西野さん。
そこに広がりが生まれるというのだ。なるほど、煮込みとワインの両者を自然に繋いでくれるのが、パンという存在なのだ。
国産小麦のテロワールを追求するパンはもちろん、煮込みにも西野さんらしい背景がある。料理を教えてくれたイタリア人シェフの影響で、煮込みが日常にある、かの地の食文化に親しんできたという。
そんな中で独立する前から、メニューに加えようと決めていたのが「トマトと卵」。そのシェフの思い出のひと皿がこの料理のベースになっているのだとか。
トマトと卵880円、パン付き

魚の濃厚な旨みをピュレ状に封じ込めた「魚」煮込みも見事で、これは完全なるパン泥棒といえる。
魚(鯛と秋刀魚)1100円、パン付き

「『しお豚とフェンネル』はイタリアのラグーのように、ほぐせばパスタのソースになります。これもそのシェフの料理から学んだこと」と教えてくれた。
しお豚とフェンネル1320円、パン付き

この店の煮込みは、やりすぎていない、というか素材使いがまっすぐなところがいい。だから、ワインやパンが加わることで、相乗効果がもたらされるのだ。そのバランス感覚は、やっぱりパンの作り手ならではなのだろう。
しかも、煮込みをパンに挟んじゃうという、大胆不敵なサンドイッチまである。こちらはもう、パンと煮込みをベストバランスで味わうための答えと呼べるかもしれない。
サンドイッチ・ローストチキンと白菜770円、グラスワイン1000円~
パンとワインの相談所を名乗る『チェスト』は、“立ち飲みはおまけ”というけれど、そのおまけにもメッチャ力が入っているじゃないですか!
ちなみに、パンを買う人は“パンの入口”から入ってくださいね。ここ、大事。
店主:西野文也さん「パンと煮込みに合うワインも売ってます」
清澄白河『CIEST(チェスト)』
[店名]『CIEST(チェスト)』
[住所]東京都江東区平野1-11-12
[電話]非公開
[営業時間]パンとワイン販売:12時~18時、ワインバーは13時~
[休日]水・木
[交通]都営大江戸線ほか清澄白河駅A3出口から徒歩約10分
撮影/西崎進也、取材/岡本ジュン
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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