500円でも妥協なし、むしろ完成度は高い
では、まず中華そばから味わってみることにしよう。
澄んだ醤油スープに、鶏ガラの旨みがじんわりと広がる。派手さはないが、飽きない味だ。表面に浮かぶ背脂がコクとほのかな甘みを補い、全体をまとめている。
麺はストレートで、するりと喉を通るタイプ。チャーシューやメンマといった具材も含め、いわゆる町中華の中華そばを丁寧に再現したような仕上がりだ。
中華そばの余韻を残しつつ、チャーハンにレンゲを入れる。はらりとほどける米粒は油でしっかりコーティングされているのに、重さは感じない。味付けはややしっかりめで、刻みネギやニンニクなどで作った香味油がアクセントになっている。これもまた、誰もが好きな町中華の味だ。
チャーハンは自動調理器、いわゆるロボシェフで調理をしている。新人でもベテランでも誰が作っても一定のクオリティを保つためだろう。それにはまったく異論はない。おいしければよいのだから。
ただ、ロボシェフは時間通りに仕上げてくれるが、提供するのは人。厨房内を見渡して、今やるべきことを瞬時に判断しているからこそ、絶妙なタイミングでチャーハンが提供されたのだ。
そして、中華そばと合わせて食べる。やはりこれがチャーラーの真骨頂。口の中に中華そばのスープの旨みを残しつつ、再びチャーハンへ。もうレンゲを持つ手が止まらない。気がつけば、あっという間に食べ終えていた。いやー、おいしかった!
この満足度で500円はやはり安すぎる。人件費を考えれば、決して余裕があるとは思えない。それでも続けるのは、ここで育った人たちが配属先の店舗を支えるからだろう。目先の利益ではなく、長い目で見た投資。その結果として、客は安く食べることができるし、店は人材を育成する。この500円は、ただ安いだけのチャーラーではない。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。





