チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第61回の今回は、愛知県一宮市へ。製麺所が営む、安くて旨いチャーラーです。
焼きそばや中華そばの麺を買いに来る客がひっきりなしに訪れる
筆者が子どもの頃、家の近くに市場があった。古くて薄暗い建物の中には青果や鮮魚の店が軒を連ねていて、明らかにスーパーとは違う雰囲気だった。市場内にはうどんやきしめん、そば、中華麺を扱う製麺所も出店していて、4席ほどしかない狭いイートインスペースもあった。そこで食べたうどんがとてもおいしかったことを覚えている。
他の地域はどうなのかは知らないが、筆者が暮らす愛知県には製麺所直営のうどん店をよく目にする。今回紹介する愛知県一宮市の『西村麺業』もその店名からもわかるように、製麺所の直営店である。
筆者はこれまで何度か足を運んでいて、いつも名物の焼きそばを注文していた。焼きそばにはソースがかかっておらず、卓上のソースで好みの味にして食すのが特徴だ。あと、きしめんも食べたことがある。麺のおいしさが際立っていて、もっちりとした昔ながらの味わいだったと記憶している。
この日は一宮市で取材の打ち合わせがあり、その前に昼食を済ませておこうと思い、久しぶりに立ち寄った。
メニューを見ると、相変わらず安い。巷ではラーメン1杯が800円、900円するというのに、ここの「中華そば」は440円。一宮市が発祥とされる喫茶店の超お値打ちなモーニングといい、同じ日本国内なのに一宮市は貨幣価値が異なるのである(笑)。
以前にはあったうどんやきしめん、信州そばがなくなっていて、現在は中華そばとワンタン、焼きそばのみになっていた。
サイドメニューには炒飯があった。そうなると、ここは必然的に炒飯と中華そば、つまりチャーラーを頼むしかない。そこで「炒飯」(520円)と「ワンタン麺」(540円)を注文することにした。きっと、ワンタンの皮も自家製だと思う。こりゃ楽しみだ!
料理を待っている間、店内にはひっきりなしに客が訪れる。食べに来るのではなく、焼きそばや中華そばの麺を買いに来るのだ。
それもそのはず、焼きそば麺は1玉100円で、中華麺は1玉90円。中華麺はお湯で割るだけのスープが付く「中華セット」もあり、こちらは140円。と、どれもめちゃくちゃ安い。麺を買いに来る客と店員さんとのやりとりを見ていて、子どもの頃に行った市場を思い出してほっこりとしてしまった。
注文して5分もかからないうちにワンタン麺と炒飯が目の前に運ばれた。いずれもビジュアルはシンプルそのもの。これ、これっ! チャーラーはこういうのでイイんだよ。


