旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■ビールのお供
正解:だだちゃ豆
難易度:★★★☆☆
山形県鶴岡市周辺の在来種です
だだちゃ豆とはマメ科に属する大豆の一種で、未成熟な青い状態で収穫して食べる、いわゆる枝豆の地方品種です。
いまでこそ全国区の知名度を誇り、枝豆の王様などと称されるほどの圧倒的な存在感を放っていますが、もとは山形県の日本海側に位置する庄内地方、とくに鶴岡市の白山(しらやま)地区周辺というごく限られた狭いエリアでのみ受け継がれてきた在来種でした。
実はこの豆、非常にわがままで気難しい性質を持っています。というのも、ほかの土地に種を持ち出して栽培しても、庄内地方で育ったものと同じような味や香りにはなりにくいとされています。
庄内平野特有の肥沃な土壌や、日中と夜間の大きな寒暖差など、庄内地方ならではの自然環境が重なり合うことで、あの唯一無二の風味が育まれるのです。
また、一般的な枝豆はひとつのさやに3粒入るのが理想とされますが、だだちゃ豆はあえて2粒入りが多いのも特徴です。
「だだちゃ」という名前は山形県の庄内地方の古い方言で「お父さん」や「一家の主」を意味する言葉です。江戸時代、無類の枝豆好きだった庄内藩の殿様が、毎日城下から枝豆を取り寄せては「今日はどこのだだちゃ(お父さん)が育てた豆か?」と尋ねたことが名前の由来になったという説が広く知られています。
旬の時期は非常に短く、夏真っ盛りの7月下旬から9月上旬にかけてのわずか1カ月半ほどしかありません。そのなかでも、もっとも味と香りが濃厚になる「本豆(ほんだだちゃ)」と呼ばれる系統が収穫されるのは、8月中旬から下旬、ちょうどお盆の時期を中心としたわずか数週間だけです。
だだちゃ豆の美味しさを語るうえで絶対に外せないのが、強い香りと、深いコクです。サツマイモや栗にも似た強い甘みがあり、噛むほどにアミノ酸由来の濃厚な旨みが染み出してきます。
茹でてそのまま食べる以外にも、美味しい食べ方はたくさんあります。
その代表格が、茹でた豆をすり鉢で丁寧に潰して砂糖と混ぜ合わせた青豆の餡です。面白いのが、枝豆をすり潰したこの甘い餡のことを、お隣の宮城県、とくに仙台周辺では「ずんだ」と呼びます。ただし、山形県内では地域によって呼び名が異なり、山形市周辺では「ぬた」、米沢市などの置賜(おきたま)地方では「じんだん」と呼ばれます。
また、お米と一緒にむき身の豆を炊き込むと、ご飯の一粒一粒に豆の香ばしい風味と甘みがコーティングされ、何杯でもおかわりしたくなるほどの美味しさになります。




