瓶ビールと楽しむ妄想の旅も乙なもの
肥「一期一会的なビール目的の旅、いいね。でもなかなか遠出できない人は私と輔老さんが担当した大手の生と瓶、いわゆるニッポンの王道を都内で楽しむビール旅がおすすめ。ね、輔老さんっ」
輔「はい、待ってましたよぉ。海やら富士山やら何だかキラキラ眩しいビール旅の話が続いてましたが、自分はといえば『はまぐり』で貝料理を食べつつ瓶をトクトク。貝から海を連想し、ビールの泡がどこか白波立っているように見えたりして(笑)」
肥「あはは、グラスの中にダイブしたくなりそう。でも瓶の良さってそういう自分の世界に浸れる楽しさというのもあるんだよね」
輔「ひとり飲みだとなぜか心強くて、話しかける相手がいる気がする。色や形も好き。人形みたいに見える。友情さえ感じる(笑)」
肥「わかるぅ。昔誰かが瓶ビールは色気があると熱弁してて妙に嫉妬したんだけど、あの曲線の佇まいがいい。飲み手のペースに寄り添ってくれる懐の深い熟女という感じかなぁ。触り心地もいいの。大瓶もある『煮込蔦八』ではスリスリ頬ずりしてたもん」
菜「ねえ、君ら妄想族?(笑)」
輔「実は、その日最初のビールに口をつける時は誰にも聞こえないように小声で『ありがと』と言う癖がある。コップに注いでトンと机に瓶を置いた時、瓶の口にぷわ~んとシャボン玉がまあるくできることがありますよね。それをビー玉ならぬ、ビール玉と勝手に呼んでます。茶柱が立ったのと同様に『縁起がいい、俺はツイてる!』と思う。パチンと弾けるまでじっと見つめてしまう……大好き」
飯「お、おーい(笑)」
輔「とまあ瓶が好きな訳ですが、取材した老舗はどこも良かった。分厚い小コップで煽るように飲むのはおいしい飲み方と思ったし、やきとんや貝に酒や焼酎じゃなく瓶を選ぶ人はビール党っぽい。党が付く感じ。『今日の気分は瓶っすよね』と心で仲間を求めてました」
肥「後で3時間ぐらい輔老さんと瓶愛を語りたいわ(笑)。で、王道の生も今回は大手メーカー中心の味を揃えたんだけど、日本のビールのおいしさを再確認した」
池「同じ銘柄でもサーバーとか店の管理で全く味が変わるよね」
肥「まさにビールは生き物。育て方(扱い)で良さを引き出して、注ぎ方で装い(味の印象)も変わるというのかな。『BEER BOULEVARD GINZA』の注ぎ名人、佐藤さんが言ってたけど、きちんと品質管理してる店はグラスも完璧に洗浄してるから、内側に気泡が付かないんだって。ビールに愛情を注ぐ店を見分けるポイントになるね」
菜「ビール愛と知識の深さを感じたのはクラフトの店でもそう。『TWO FINGERS』は熱量たっぷりの説明からして愛にあふれていて、その想いが伝わってこっちまで楽しくなる」
戎「常連になりたい店でした」
菜「それとクラフトって1杯千円以上が当たり前じゃない? 大手に比べると仕方ないかもだけど、やっぱ高い。でも『ANOTHER8』のコースには驚いた。その日のクラフトが2時間飲み放題で5500円! しかもしっかりつまみも付いてめちゃくちゃお得! 近々再訪確定」
戎「ちなみに都内のクラフトはサッと飲める立ち飲み&初心者も行きやすい店でまとめたので、年々間口が広くなっているその世界にぜひ飛び込んでほしいなと。そういえば埼玉の『Teenage Brewing』は僕の一番好きなブルワリーなんですが、実は埼玉は醸造所が多いんですよ。地元在住としてアピールしたく埼玉の旅誌面も作ったのでぜひ。とまあ僕のクラフト愛をいろいろ語りましたが、やはり日本の大手が作る味には感心します。その高いクオリティが土台にあるからこそ個性的な味を造るブルワリーが次々と誕生している。そんな日本のビールの素晴らしさを特集で感じてもらえたら最高です!!」
池「またまたエビーがアツく語ったところで。冷た~いビールでクールダウンするか!」
全員「するする、カンパ~イ♪」
撮影/大西 陽、文/肥田木奈々
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