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手間暇かけて2年間お世話してできる一休寺納豆

鎌倉時代に中国から禅僧によって日本へ伝えられた豆鼓の作り方を、室町時代に入って、飢えや栄養不足に苦しむ人々のために、一休禅師が教えて広まった「一休寺納豆」。一般的な納豆ではなく、味噌や醤油と同じように、大豆を麹菌で発酵させたもので、そのまま食べたり、調味料や料理の隠し味として使われたりしています。京都・大徳寺では大徳寺納豆として知られます。

木桶の一休寺納豆を毎日欠かさず攪拌させる田邊住職

一休寺納豆の仕込みは、梅雨明けの7月中旬から末頃に始まります。水に漬けた大豆を蒸し、筵(むしろ)に広げて冷まして、大豆と同量のはったい粉(大麦の粉)と麹を混ぜ合わせます。これを麹蓋に敷き詰めて、蔵に入れて2日間発酵させます。発酵して固まったものを手でほぐし、塩湯を張った木桶に混ぜ合わせて、仕込みは完成。ここからが大変で、納豆を毎日攪拌して天日干しを行い、これを1年間続けます。少しずつ水分が抜けて真っ黒になった納豆をさらに1年間かけて熟成させて、一休寺納豆はできあがります。

この状態から天日干しで一年かけて水分を飛ばし、旨味を凝縮させる

「太陽光を当てることで、アミノ酸が生成される。手をかけて面倒をみることで旨味が凝縮されます」と第37代住職の田邊宗一さん。作り方を記す書はなく、すべて口伝で教わったそうで、先代住職から引き継いで40年以上、お勤めの傍らで、一休寺納豆作りに勤しまれています。

「初めての方には塩辛いかな。良ければどうぞ」と勧められ、試食した感想は、塩味は強いものの、昆布の出汁のような旨味と風味を感じ、ご飯にのせて食べるのも、料理の隠し味に使うのも良いと思いました。一休寺納豆があれば、酷暑が続く夏を乗り切れそうです。

漆黒とも褐色ともとれる一休寺納豆

一休寺納豆が主役になる、美味で絶品の夏季限定「冷やし善哉」

大徳寺の住職からお餅の入った小豆汁をごちそうされた一休禅師が「善哉此汁(よきかなこのしる)」と言ったことが「善哉(ぜんざい)」の名の由来と言われています。一休寺では、参拝者に善哉を接待されていて、大粒の丹波小豆で作った「一休善哉」900円が味わえます。関西では口直しに善哉に塩昆布が添えられますが、一休寺では一休寺納豆を出してもらえ、実際に味わうことができます。

冷やし善哉900円。お抹茶付き+400円。※小皿の一休寺納豆は善哉に付くもので(撮影用にご用意いただきました)、冷やし善哉には付きません。

夏季限定の「冷やし善哉」900円をいただきました。すっきりした甘さの冷たい善哉に、自家製のもちもちの白玉が2つ入っていて、細かく刻んだ一休寺納豆ときな粉がかかっています。一休寺納豆の塩味と旨味が舌の上で複雑に絡みあい、善哉が一段上の美味しさに。他では味わえない一休寺だけの味に、すっかり魅了されました。暑い京都の夏に、ぜひ食べてほしい一品です。

一休寺納豆の塩味と旨味によって、他にない善哉を味わえる

一休寺納豆は50g入800円で、寺務所で購入できます。自家用はもちろん、気の利いた京土産として喜ばれること間違いなし。一休寺のホームページでネット通販も行われていますが、寺院のお勤めの関係で、販売を一時停止されることもあるので、ご参拝後にお忘れなく。

素敵なデザインのパッケージでお土産に最適。800円50g入

[名称]酬恩庵 一休寺
[住所]京都府京田辺市薪里ノ内102
[電話番号]0774-62-0193
[拝観]9時~17時(宝物殿 9時半〜16時半)
[拝観料]大人600円、中・高校生300円、小学生200円
[交通]京阪バス一休寺バス停から徒歩5分

文・写真/寺田鳥五郎

テラダ・トリゴロウ。京都精華大学美術学部(現・マンガ学部)卒業。ココロ株式会社代表取締役。1968年、京都生まれ。タウン誌編集者、地方新聞記者、フリー編集ライターを経て、編集デザイン会社を設立。「人に歴史あり」を信条に取材を重ね、その人の魅力を伝えることを心がけている。

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寺田 鳥五郎
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