そうでしょう! そうでしょう!
料理がどれも佐渡の酒とよく合う。ドンデン高原ロッジではいくつかの銘柄の日本酒が用意されており、自販機で食券を買う仕組みだ。おすすめの日本酒はやや高かったが確かに旨い。
「お味は?」と聞かれたので、「最高です」と答えると、「そうでしょう! そうでしょう!」と彼は先ほどより一段、大きな声で相槌を打った。するとまわりのテーブルのお客さんがガタガタと無言で立ち上がり、その酒を求めて自販機に並ぶ、そしてまた味を聞かれて、さらに別の人が……という無限ループが繰り返される。なかなか商売上手であった。
佐渡の絶景も見えず、楽しみにしていた夜の星空観察もできなかった。けれど高原ロッジの個性的なスタッフさんの人間観察や味のドンデン返しの連発に飽きることがなく夜になった。
ところでなぜ「ドンデン」という地名なのだろう? その昔、この高原で誰かにドンデン返しされた物語でもあるのだろうかと調べてみれば、尖っていない嶺という意味の「鈍嶺(どんでん)」が由来なのだとか。険しい峰が連なる大佐渡山地の中で、この周辺だけは「なだらかな嶺(峰)」が広がっているそうだ。
寝る前に高原ロッジの外に出てみたが、相変わらず霧で街の夜景も星も見えなかった。明日はなだらかな「鈍嶺」なる景色が見られるかもしれない。青空が広がることを祈って布団にもぐりこんだ。第4話につづく。
取材/白石あづさ







