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ハワイにワインを買いに行く日【ワインの海、小ネタの浜辺】第1話

ハワイにワインを買いに行く日【ワインの海、小ネタの浜辺】第1話

まるで大海原のようなワインの世界。そこはまた一本一本のボトルの背景を彩るエピソードの宝庫でもある。日々、浜辺にうち寄せる無数のワイン・ネタの波の中から、気の利いた話題をピックアップしていこう。小ネタの潮騒に耳を傾けながらワインを飲めば、その味わいはグッと深まるに違いない──。

perm_media 《画像ギャラリー》ハワイにワインを買いに行く日【ワインの海、小ネタの浜辺】第1話の画像をチェック! navigate_next

アメリカ政府が「ちゃんとしたワイン産地」とお墨付き 原産地呼称制度の「AVA」に承認

アメリカ合衆国政府がハワイを「ちゃんとしたワイン産地」と認めることになった。そう、あの常夏の島ハワイを、である。

マウイ島のハナのビーチ

ワインなど土地に根差した産物の名称を保護し、品質を保証する原産地呼称制度の歴史は古く、15世紀にフランスのロックフォール=シュル=スールゾン村で造られる青カビタイプのチーズ「ロックフォール」の名称を保護しようとしたことに始まる。この制度は20世紀前半からワインの世界で急速に広まり、今では商業ワインを産する地球上のほぼ全ての地域で同様の制度が採用されている

そのおかげで、例えば「シャンパン」と名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方で生産されたスパークリングワインだけなのであり、買い手は「偽シャンパン」を買わされるリスクを免れることになる(シャンパンについては、つい先日ロシアが自国産のスパークリングだけをシャンパンと呼べると言う珍奇な新法をプーチン大統領が承認し、物議を醸している。この話題はまた回を改めてご紹介します)。フランスで「AOC」、イタリアでは「DOC」と呼ばれている原産地呼称制度、アメリカでこれに当たるのが「AVA(American Viticultural Areas=ワイン指定栽培地域)」だ。ナパやソノマといった産地はAVAに承認され、その名が守られている

マウイ島南部の「ウルパラクア地区」 ブドウ畑はひとつだけ

ウルパラクア地区のブドウ畑

ハワイの話題に戻ろう。2021年8月2日からハワイ・マウイ島のウルパラクア地区が全米257番目のAVA認証産地になった。ウルパラクア地区はマウイ島南部の高地に広がっている。ブドウ畑はたった1つで、その広さは約6.5ヘクタール。この畑から少し離れたところに島で唯一のワイナリー、マウイ・ワインがある

1974年設立のこのワイナリーの看板商品は、ツーリストにマウイ土産として知られるパイナップル・ワインだが、ブドウを原料とした本格的なワインも赤・白・ロゼ・スパークリングを製造している。実はこの土地にAVA認証を与えるよう、政府に申請したマーク・ビーマンという人物は、マウイ・ワインの元ワインメーカーだ。

ウルパラクア地区のブドウで造られたワイン

先に述べたように、AVAは産地の名前(ワインの呼称になることが多い)を保護すると同時に、その土地で造られるワインの品質を保証するものだ。つまり、しかるべき筋からの承認を得るためには、その土地が固有の特徴を持った土地であり、土地の名を語るにふさわしい無二のワインを生んでいなくてはならない

適度な保水性、ほどよい降雨量……好天と海洋島ならではの風で果実が濃縮

ハレアカラ火山

ウルパラクアの「個性」を見てみよう。同地区は、ハレアカラ火山(3055m)の山裾の南西斜面に広がり、周りは急な斜面や峡谷、露出した火山岩に囲まれている。ブドウ畑のある土地の標高は475〜564m。土壌は火山灰と火成岩の風化したもの。およそ20%をシルト、ローム、粘土が占める。一般的に火山性土壌は排水性が高いが(ブドウは水捌けの良い土地に適する)、これらの粒子の微細な土壌が適度な保水性を土地に持たせている

マウイ島のイオア渓谷

「常夏=炎暑」のイメージが強いハワイだが、ウルパラクアのあたりでは最高気温が30℃を超えることはほとんどなく、冷え込む日にも10℃を下回ることはない。世界のワイン産地の中では、これは極めてマイルドな気候と言える。年間降水量は約780mm。この数字はフランス・ボルドーのそれに近く、世界のワイン産地の中では「ほどよく雨の降る産地」と言える。ちなみに日本ワインの中心地、山梨・勝沼の年間降水量は1080mmほどだ。

湿潤な印象のハワイはワイン造りのイメージからは程遠いが

この土地にとって幸運なのは、ブドウの実が成熟する7月〜8月にかけて雨が少ないこと。好天と海洋島ならではの風が果実を濃縮させ、カビ系の病害からブドウを守ってくれる

1800年代初頭からブドウ栽培

マウイ島におけるブドウ栽培は1800年代の初期にポルトガル移民のドン・フランシスコ・デ・パウラ・マリンによって始められた。もちろん、ワインを造るためだ。その後の歴史を詳しく語る資料は残念ながら手もとにないが、現在栽培されている品種(ゲヴェルツトラミネール、シュナンブラン、ヴィオニエ、グルナッシュ、マルベック、シラー)を見ると、寒冷地に向く品種、熱暑に強い品種が混じり合い、試行錯誤(あるいは迷走?)の過去が想像できる。

ちなみに「ウルパラクア」とは現地の言葉で「背中で熟したパンノキ」という意味だ。伝説によると、島の東部で収穫されたパンノキの実を島の西部に住む王様に届ける際、ウルパラクアのあたりまで来ると、背負った背中で熟した──。

ウルパラクア地区から夕日を望む

「島のワイン」「火山性土壌のワイン」 世界のワイントレンド

肝心のワインのクオリティについては、残念ながらまだ試飲の機会に恵まれていないので、ここで語るべきことはない。マウイ・ワインの製品は日本にも輸入されているが、現在のところ入手可能なのは例のパイナップルワインとアメリカ大陸のブドウを混ぜて造ったワインだけである。

パイナップル畑

しかし、現状はどうあれ、ハワイのワインには大きなポテンシャルがある。世界のワイン・トレンドを語るキーワードはいつくかあるが、その中に「島のワイン」「火山性土壌のワイン」というのがあり、それらはハワイのワインと合致するのだ。近い将来、評判のワインを買うのを目的にハワイに出かける日がやってくるかもしれない

ハワイのワインで乾杯!

連載の初回につき、さらなる小ネタを1つ。
Q:アメリカで最初にAVA認定を受けたワイン産地はどこ?
A:ミズーリ州オーガスタ(1980年6月20日認定)

ワインの海は深く広い‥‥。

写真提供:Maui Wine

浮田泰幸

うきた・やすゆき。ワインジャーナリスト/ライター。広く国内外を取材し、雑誌・新聞・ウェブサイト等に寄稿。これまでに訪問したワイナリーは600軒以上に及ぶ。世界のワイン産地の魅力を多角的に紹介するトークイベント「wine&trip」を主催。著書に『憧れのボルドーへ』(AERA Mook)等がある。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
このグルメ記事のライター
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