『やきとり 結火(むすび)』@大塚
古きをリスペクトし新しい感性を取り入れた 次代の焼鳥劇場
シンプルゆえに焼き手の力量が問われる世界、それが焼鳥。手法は十人十色だが、目指す方向はただひとつ、その1本で食べ手を唸らせること。大塚で挑む若き大将が笠井剛さんだ。
目黒の人気店『やきとり阿部』の姉妹店である。実は実家が焼鳥屋、大箱も高級店も経験した彼は腕を磨くためフレンチなど違う分野でも修業した。言わばここは名店の系列ではあるけれど次代の〝笠井流〟を楽しむ場でもあるのだ。
だきみ ストップ制のおまかせコース(目安10本で4000円前後)より
選んだのは力強い肉質の「黒さつま鶏」。とりわけ仕込みに心を注ぎ、ドリップで旨みを逃さないよう温度管理を徹底して串打ちする。手羽は骨を抜きそこにネギを挟んで骨周りの旨みを吸わせ、皮はまずコンフィにしてから香ばしく焼く。
独自の探求で部位の魅力をより際立たせ、より食べやすく。さあ、総勢35種がストップ制の舞台へと出番を待つ。準備はOK? 結火劇場、幕開けだ!
[住所]東京都豊島区北大塚2-1-1ba05ビル8階
[電話]03-6903- 6603
[営業時間]17時~23時(22時半LO)
[休日]日・水
[交通]JR山手線ほか大塚駅北口から徒歩1分
『刻鳥(こくちょう)』@上野広小路
職人気質の実直な味、炭の香りと肉汁が口の中で弾けて広がる
JR御徒町駅を出てきらびやかな看板の店が立ち並ぶ雑多な通りを抜けると、控えめに佇むビルの前にたどり着く。
街の喧騒のせいか、「本当にここに実力派の焼鳥屋があるのか」という思いがよぎるが、そんな心配は前菜の鶏ソーセージで一掃される。軟骨、レバーなどすべての部位が入るそのひと皿で、各部位の下処理をしていることがわかり、期待値が上がるからだ。
ささみ、つくね、はつ、手羽先(刻鳥コースより)5500円 メニューはコースのみ
そしてコース1本目の「もも」で、目が覚める。パリッと香ばしく焼き上げた皮の食感、口の中に広がる燻香……。いかにも実直な店主の性格が垣間見えるような味に、心を掴まれるのだ。
[住所]東京都台東区上野3-23-3 J-ROADビル2階
[電話]03-3837-7773
[営業時間]17時~23時(22時半LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄銀座線上野広小路駅A1出口・JR山手線ほか御徒町駅南口からともにから徒歩3分
『やきとり たかぎ』@大岡山
炭の香りを付け過ぎずに焼き、「村越シャモロック」の旨さを頂点に
「青森シャモロック」は旨み成分が多くて味も濃く、繊維のきめが細かい高品質の地鶏だ。
「なかでも村越正和さんが育てるシャモロックは格別に美味しい」と話すのは、店主の高木さん。10年以上、独学で鶏を捌き、焼き、全国の鶏を食べ比べながら探究したなかで、心底惚れ込んだのが村越さんの鶏だったそう。
おまかせ八本 3300円
初めて食べる人でも高木さんの串をひと口食べれば、澄んだ脂の旨みを実感できる。それは、肉本来の味わいが引き立つよう、あえて炭の香りを付け過ぎない焼き方をしているから。
ぜひとも「村越シャモロック」を堪能し、酔いしれたい。
[住所]東京都大田区北千束1-56-5
[電話]03-5726-9377
[営業時間]18時〜23時(22時半LO)
[休日]火
[交通]東急大井町線ほか大岡山駅から徒歩5分