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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第22回は「天然酵母パン」です。

パン作りの“キーマン” 天然酵母とイーストは何が違う?

クッキングパパ 第31巻「COOK.302 ホンモノの味 天然酵母パン」で取り上げる天然酵母とは、リンゴやレーズンなどのフルーツや野菜、米などの穀物に付着している多種多様な微生物です。

一方、パンやピザ生地作りには、市販されている「(ドライ、生)イースト」を使うのが一般的です。イーストは、「パン酵母」とも呼ばれ、パン作りに適した単種の微生物を純粋培養したもの。入手しやすいうえ、パン生地を発酵させるスピードも安定して速いので、プロから家庭まで幅広く使われています。

天然酵母は、複数の微生物が発酵して放つ芳醇な香りが特徴です。ただ、初めて自分で天然酵母を採取してパン種として発酵させてパン作りとなると、腰が重いかもしれません。

作中では半世紀にわたり、天然酵母パンのパン種を製造、各地にパン作りを広めてきた「東光寺」(奈良県桜井市)の「楽健寺天然酵母パン種」が使われています。フルーティーな香りのパン種は購入が可能です。

手に入れたスターターのパン種は生きていますから、世話やりをお忘れなく。酵母菌のエサとなるニンジン、リンゴをすりおろし、ご飯、塩、砂糖を与えましょう。パン種からプクプク泡が出て瓶いっぱいに膨らんでいれば、発酵・増殖が成功した目安です。上手に世話をすれば元気に生き続けますから、毎日、焼き立てパンを楽しめます。

また、お子さんの夏休みの自由研究を兼ねて、身近な食材から天然酵母を取り出し、発酵させて自家製種を作ってみるのも“ミクロ世界のふしぎ”を観察できておススメです。

天然酵母はじっくり、気長に発酵 夏場は万全の暑さ対策を

いよいよ、大切に育てたパン種でパンを作りましょう。パン種が、材料の水や小麦粉や砂糖や塩と結びつくと、発酵が進んで炭酸ガスを出し、生地が膨らみ、弾力のある香り豊かなパンができあがります。

その際、じっくり時間をかけてしっかりと発酵することです。特に天然酵母の場合、イーストを使うよりも余計に時間がかかります。ここはもう、「気楽に気長におおらかに」待ちましょう。

夏場の注意点は気温が高いゆえ、発酵が短時間に進み過ぎてしまうことです。そうなると、強い酸味などの異臭を放ち、焼いても膨らみません。予防策として、水や小麦粉、道具も冷やしてから生地を捏ねて、風通しの良い涼しい場所でじっくり、時間をかけて発酵させてから焼き上げます。

手作りの天然酵母パンはちょっと硬めで素朴な見た目ですが、噛めば噛むほどじわっと広がる小麦本来の風味がたまりません。

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高級食パンブームに「陰り」 専門店乱立で価格と商品価値がミス...
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中島幸恵
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