週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第23回は「飯盒(はんごう)で作る炊き込みカレー」です。
「飯盒」は軍隊の装備品から不動のキャンプアイテムに!
クッキングパパ 第19巻「COOK.184 アウトドアに炊き込みカレー」の主役は、「飯盒」です。
作中にある、そら豆のような形をしてくびれがあるタイプは、兵式飯盒と呼ばれ、4合炊きが基本です。
もとは、ヨーロッパで軍隊の装備品として食事の際使われていたものが、日本に入ってきた明治以降、米を屋外で炊くために改良された形がいまも受け継がれています。
昨今、空前のキャンプブームのさなか、さまざまな“キャンプ飯”が生まれるのに合わせて、便利グッズも日々進化していますが、不動の地位を確立しているのが万能クッカー、飯盒です。
小学校の林間学校で、初めて飯盒でご飯を炊いたら、強火すぎて真っ黒コゲ……なんて、苦い思い出がある人もいるのでは。その時から変わらぬ昔ながらの飯盒ですが、仕組みは、ハンドルがついた上ぶた、すりきりで米2合を測れる中ぶたを供え、深さがある下の部分に米と水を入れて炊きます。
詳しくはクッキングパパ第13巻「COOK.122 はんごうごはんを炊こう!!」もぜひ読んでみてください。
クッキングパパの「炊き込みカレー」は食材も調味料もシンプル!
一方、飯盒は、炊飯に特化したアイテムという固定観念を打ち破り、いまや多種多様な用途を誇るほか、防災時の常備品としても見直されています。
クッキングパパのレシピの炊き込みカレーでは、米や肉、野菜、調味料もすべていっぺんに飯盒に入れて、火加減に注意しながら焚き火で炊くだけのお手軽さで、本格的な味わいを楽しめます。
キーとなる食材がスペアリブですが、バーベキュー(BBQ)では、かたまり肉ごとグリルで豪快に焼いたりしていただくおなじみの食材です。煮込むと骨から良いだしが出るので、調味料も最低限で済みます。
カレールウの代わりにサラッとしたカレーパウダーを使って、ニンニク、ショウガで味付けをすればいつもよりヘルシーに仕上がります。お好みでワインやソース、醤油やケチャップで味をととのえてもいいですね。
キャンプは、いたってシンプルに楽しむのがコツです。あれもこれも買い込まず、必要最低限の食材や調味料だけで工夫して調理するのもまた楽しいもの。
ただし、最後まで火加減には細心の注意を払いましょう。炊飯の言い伝えとして知られている「はじめチョロチョロ 中パッパ 赤子泣いてもふた取るな」の要領で行います。
特に気をつけるべきは「中パッパ」、炊き始めて沸騰してからの火加減です。飯盒全体が上ぶたまで燃え盛る炎で包まれるほどの強火では、外側だけが真っ黒にコゲついてしまい食べられません。飯盒を火にかけてから炊き上げた後、蒸らし時間を含めて、4合炊きで30分強が目安となります。