いよいよ夏真っ盛り。全国で気温が急上昇していますが、京都は中でも酷暑のスポットとして知られています。その京都で、涼しさも感じられて、新映えスポットとして人気の場所をご紹介しましょう。「嵐山 祐斎亭」が、その最新の「映えスポット」です。
何度も京都に足を運んでいますが、今回訪れたこの空間は特別。築約150年という歴史ある家屋は現在、希代の染色家のアートギャラリーであり、桂川の景観と涼が体感できる満足度100%のスペースとなっています。脳で感じる、肌で感じる、目で楽しむ、耳で堪能するなど多彩な楽しみ方ができる。さて、いざ「嵐山 祐斎亭」(以下、祐斎亭)に足を運びましょう。
嵐山の渡月橋の川沿いの道から、二股の道を山方向へ階段を登って行ったところに祐斎亭はあります。この辺りは平安時代の貴族が別荘を構えた風光明媚な場所でした。渡月橋から徒歩で10分弱。二股になっている箇所に小さな看板があり、山の方へ登っていきます。少し勾配のある階段があり、入口の門にたどり着きます。
門をくぐると落ち着いた佇まいの山荘風の建物が見えてきます。
そして、その建物の手前で、色鮮やかな染物の織物が私を迎えてくれました。蒼、藍、黄、紅などが複雑に絡み合い、まるで「虹を帯にした」ようです。
透ける素材なので、その華やかではかなげな美に心を動かされました。このギャラリーの主・奥田祐斎氏の作品です。
奥田祐斎氏は、三重県出身。なんと光によって染色が変化する独自の染色技法「夢こうろ染め」を作り出し、国内だけでなく海外からも高い評価を受けています。エルメスの経営陣もこの祐斎亭を訪れて、祐斎氏に技法の解説をしてもらったそうです。
スタッフの方が披露してくれましたが、薄紫色の着物が違う色のライトを当てると薄紅色に変化するのです。これが「夢こうろ染め」ですが、目の当たりにするまでその見事さは理解できませんでした。まさに、アメージング!
作業場で、祐斎氏に直接お話もお聞き出来ました。作業は何時から何時までされるのかという愚問に、「時間を決めてやるのは職人。私は、時間を決めずにやっています」と真摯にお答えくださいました。決して肩に力が入っている訳ではありませんが、アーティストとしての立ち位置、矜持を感じました。祐斎氏はジーンズを履かれていましたが、ご自分で染めたジーンズを身にまとった祐斎氏は、とても粋でした。ジーンズも持ち込めば、染色して頂けるそうです。同じ染模様はないので、世界で唯一無二のジーンズとなります。
祐斎氏の作品は、世界でも評価されており当然素晴らしい価値があります。私が写真で撮影しても、その作品の見事さは見てとることができます。鮮やかな色のスカーフなども、置かれています。また、染物体験もできるので、楽しみも倍増です。