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桃の節句の3月3日、天皇家では節句にちなんだ節句料理が出される。天皇陛下や秋篠宮さま、黒田清子さんがまだお小さかったころ、美智子さまはお子さま方が喜ばれる彩のよい手まり寿司を出されていた。年月が経ち、小振りで美しい手まり寿司は、天皇陛下と雅子さまが行った海外の賓客へのおもてなしに登場した。それは、明治以来続いたフランス料理での慣例を打ち破る画期的なことだった。今回は、小さな手まり寿司の大きな活躍の物語である。

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お子様方も喜んで召し上がるかわいらしいお寿司

女の子の健やかな成長を祈る年中行事のひなまつり。桃の花が咲く時期であることから、桃の節句とも呼ばれている。かつて上皇さまと美智子さまは、御所のお和室に節句にちなんだ飾り物やお供え物をしてお祝いされ、ご夕餐をとられていた。

代官町通りに咲く花

例えば、平成30(2018)年の桃の節句の和室のしつらいは、床の間には蛤が描かれた掛け軸、壇上には楽人の人形に桃の花と菜の花があしらわれ、左右には雛人形と御所人形が飾られた。床の間の前には、大きな三宝1つと小さな三宝が8つ並べられた。大きな三宝には菱餅をお供えし、小さな三宝にはお菓子や寿司、貝類などのご馳走が乗った。

ご夕餐には、美智子さまは曲げ割っぱに色とりどりの料理と手まり寿司などの節句料理で、お子様方を楽しませた。節句の日にも宮中祭祀やご公務でお出かけになり、お子様方と一緒に過ごすことができないことが多かったから、せめてもの心づくしだったという。

一般の家庭では、桃の節句にちらし寿司と蛤の吸い物でお祝いをする。美智子さまの手まり寿司は、一般のちらしずしのようにさまざまな具の入った酢飯に錦糸卵を乗せて小さく丸めた、かわいらしいお寿司。錦糸卵の黄色にちょこんと乗った木の芽の緑が鮮やかで、思わず手を伸ばしたくなる料理である。これなら小さなお子様方も喜んで召しあがるだろう。

濠で遊ぶ水鳥
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高木 香織
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