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和食を知っていただきたいという“大きな改革”

年が経ち、お小さかった浩宮さまも今は天皇陛下になられている。陛下は令和5年(2023年)には、小さいけれど大きな改革をなさった。それは、外国からの賓客のおもてなしの席でのことである。フランス料理の前菜として、和食の手まり寿司を出されたのだ。

ほころぶ蕾(代官町通り)

11月17日、4年ぶりに外国からの賓客をお招きして皇居・宮殿で午餐会(昼食会)が開かれた。招待されたのは中央アジア・キルギス共和国のジャパロフ大統領夫妻である。天皇家では明治以来、賓客を迎えての会食はずっとフランス料理で接遇してきた。その慣例を破って和食を提供するのは、大きな改革だったのである。

この日の前菜には、蒸しエビやホタテの手まり寿司がテーブルに華を添えた。それは、天皇陛下と雅子さまの「和食を知っていただきたい」というお気持ちによる発案だったという。

平成25年(2013年)、和食は日本人の伝統的な食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録された。四季がある日本は、多様で豊かな自然に恵まれ、そこで生まれた食文化も四季に寄り添うように育まれてきた。そんな「自然を尊ぶ」という日本人の食に関する習わしが、世界に評価されたのだ。

ジャパロフ大統領夫妻を招いての午餐会も、季節にちなんだメニューであった。最初に出された美しくかわいらしい手まり寿司は、お客さまたちの心をつかんだことだろう。お小さいころに召し上がった、「食べやすく、美しい手まり寿司」が天皇陛下のお心に残っていたのかもしれない。(連載「天皇家の食卓」第15回)

文・写真/高木香織

北白川宮能久親王像(北の丸公園)

参考文献/『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)

高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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