旅と銭湯をこよなく愛する、温泉ソムリエ&熱波師のライター・森田幸江が、ローカルな温浴施設の湯と人情、お風呂上がりの「ちょっと一杯」を求めて今日もどこかを股旅します。沖縄市安慶田にある『中乃湯』でひとっ風呂浴びたあとは、沖縄市照屋にある居酒屋へ。『飲兵衛倶楽部 かみさん』で聞いた衝撃の話とは!?
中乃湯から徒歩8分、酒飲みセンサーが反応
お湯で火照った身体に夜風をまとい、『中乃湯』を出てあてもなく道をゆくと、徒歩8分ほどでコザ十字路の交差点までたどり着いた。
すると、交差点からすぐ横に伸びる小さな路地に、なにやら心をそそる灯りが見える。店の外側にはシートをかけられた屋外席が張り出して、琉球泡盛「菊之露」ののれんがちらちらと舞う。
酒飲みセンサーが激しく振動。よし、このお店しかない。
そのときの自分は、まだ気づいていなかったのだ。これから訪れるその店には、素敵な「ある秘密」が隠されていたことに。
ご主人に挨拶をしてカウンター席に通してもらう。
「うちはボリュームが多いよ」とおっしゃるので、同行者とふたりでまずは、「おすすめプレート(日替わり小鉢4~5品)」(600円)と「ビール(缶)」(300円)を頼む。
カウンター越しにじゅうじゅうという音を愉しむことつかのま、出されたプレートの一角には立派なエビの炒めものが湯気を立てる。
乾杯! 風呂上がりの乾いた身体に沁みるビールと、ぷりんとめくれたエビの塩味が夜の始まりを告げる。