×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

どうしてかつ丼にはご当地ものが多いの?美味しいからこその疑問!県民は懐かしさに、非県民は珍しさに心躍らせたご当地かつ丼巡り。今回の調査を振り返りつつ、そのバラエティ豊かなご当地性を考察してみた。

icon-gallery

どうしてかつ丼には ご当地ものが多いの?

 日本は近年稀に見るご当地グルメブームだ。しかも“ご当地かつ丼”ってやけに多くない? なんで? というハテナから、その実情に迫るべく、東京で食べられるご当地かつ丼を調査した。
 そもそもかつ丼といえば、卵でとじたものが当たり前と思っていたが、いろいろ調べてみると、どうやら違うらしい。
 全国的に卵とじカツ丼の認知度は揺るぎないが、かつ丼の元祖はソースカツ丼といわれる。大正初期、東京・早稲田にあった洋食屋『ヨーロッパ軒』で、ドイツ修業帰りの初代店主がカツレツ系の薄いカツを複数枚のせ、ウスターソースをアレンジして振舞ったのが始まり。関東大震災後、店主が故郷に戻って提供するようになると、その地域で一気に広まった。それが、福井のソースカツ丼だ。

代々木八幡の『晴れ間。』で食べたかつ丼は、まさに福井のふるさとの味。

ふくよかな ソースの味がクセになる

写真:福井のソースカツ丼 1030円

細かいパン粉をまとわせた薄切りかつを甘くふくよかなソースにくぐらせ、ご飯にのせている。シンプル極まりないのだが、実に味わい深い。福井出身の店主曰く、
「県民にとってかつ丼といえば、生まれたときからこれなんですよ」

福井の食材や旬を取り入れた創作料理が評判の店。ソースカツ丼は、店主が幼い頃から食べていたという故郷の味だ。四季ごはん 晴れ間。[交]小田急線代々木八幡駅南口から徒歩3分、地下鉄千代田線代々木公園駅1番出口から徒歩3分

ソースに対して、醤油を使ったかつ丼もある。新潟のタレカツだ。その味を東京で広めたとされるのが、『タレカツ神保町本店』

カツレツの流れを汲む、 香ばしい衣と甘辛醤油ダレ

写真:タレかつ丼 830円

かつは福井と同系統の薄切りで、醤油ベースの甘辛ダレがジワっと染みて旨い。ルーツは福井? の問いに、
「新潟は明治より開港都市として栄えた街。そんな背景もあり、洋食のカツレツの流れを汲むといわれています」と、店主。
カツレツを庶民でも食べられるように、と屋台から発生したそうな。うむ、キーワードはカツレツなのだろうか。

新潟県民のソウルフードとして知られるタレカツを東京に広めたパイオニア。特徴は、薄切り肉と醤油ベースの漬けダレ。新潟米「こしいぶき」を硬めに炊いたご飯も美味で、一気にかき込んでしまう。タレカツ 神保町本店[交]JR線ほか水道橋駅東口から徒歩3分、地下鉄半蔵門線ほか神保町駅A4出口から徒歩約7分 ※ランチタイム有

一方、会津や長野駒ヶ根は福井と同じ「ソースカツ丼」を名乗るが、やや趣向が異なる。こちらは両者ともパン粉が粗く、肉も衣も厚いとんかつ系。千切りキャベツとともに丼にのせるスタイルだ。
会津出身のご夫婦が営む『キッチンフライパン』では、現地流というデカ盛りに驚愕した。

濃厚デミグラスソースをまとう厚切り洋風系

写真:会津ソースカツ丼 特大ロース 1000円

しかもソースはソースでも、カツにはデミグラス風ソースがかかっているのだ。食べてみるとなかなかイケる。地元ではウスターソース系のものもあり、とろみのあるソースが基本のよう。大正時代から親しまれているという会津庶民の味、卵とじよりメジャーなんだとか。

岡山もまたデミグラスソースをかけてキャベツを敷くスタイル。新橋『恭恭』で食べたが、会津よりやや甘めのソースがクセになる。

フルーティなドミグラスソースが寄り添う

写真:岡山ドミカツ丼 650円(夜1000円)

本誌「ご当地かつ丼、いざ喰わん!」特集掲載商品、「恭恭 (きょんきょん)」の「岡山ドミカツ丼」は岡山県民なじみの味。生パン粉をまとわせてカラッと揚げたロース肉、その魅力をさらに引き立てるのが玉ねぎをたっぷり使って甘さを出したドミグラスソースだ。[交]JR線ほか新橋駅烏森口から徒歩約3分 ※ランチタイム有

小川町『河北や』で出合った山形河北町のかつ丼は、カレー風味が印象的だった。河北町の食堂ではこれが定番のかつ丼というから、ご当地かつ丼は奥が深いとしみじみ思う。

東北の小さな町で生まれたカレーが香る逸品

写真:河北カツ丼 720円

カツを頬張ると、カレーの香りが鼻を抜ける。店主に聞けば、郷里の山形県河北町でかつ丼といえばカレー風味だという。河北や (かほくや)[交]小川町駅B7出口から徒歩3分、大手町駅C2b出口から徒歩7分、神田駅北口から徒歩8分 ※ランチタイム有

今回都内では出合えなかったが、
他にも、岐阜県瑞浪市のあんかけカツ丼、
同県土岐市のてりかつ丼、
群馬県ではタルタルカツ丼なんてものもあるらしい。
誕生パターンは様々だが、カツレツから派生したとんかつが庶民的な丼になり、地方独自の食文化と結びついて日本人の舌になじみやすく自然多発したように思う。
冷めたかつを美味しく食べるため、またご飯と親和性のある味を求めた結果、バラエティ豊かなご当地かつ丼が生まれたんじゃないだろうか。まだまだ知られていないお宝的かつ丼が全国各地に眠っているはず……
今度は各地に出かけ、ご当地かつ丼巡りをしてみたくなりました!

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

icon-gallery
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

admin-gurume
admin-gurume

admin-gurume

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。3月14日発売の4月号では、「おにぎりとおべん…