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新緑を行く土讃線の旅 四国まんなか千年ものがたり編/2018年

2017年にデビューした「四国まんなか千年ものがたり」。
デビュー前に工場で車内を見せてもらい、その後も何度も沿線で走る姿を撮影しました。
ただ、この列車はおいしい食事のレストラン列車です。
やっぱり、乗らなくちゃと思っていたのですが、なかなか機会がありませんでした。

[土讃線を走る「四国まんなか千年ものがたり」(2017年撮影)]

今回は、旅番組のお手伝いで、一年越しの念願かなって乗車することができました。
こんなときは、鉄道カメラマンになってよかったなと思います。
旅の始まりは土讃線の起点の多度津駅。
瀬戸大橋の近くにあります。
JR四国では、最初に愛媛県の松山を中心に走る「伊予灘ものがたり」という列車を走らせました。
海を眺めながら食事の出来る列車です。
「ものがたり列車」の第2弾として2017年に登場したのが、この「四国まんなか千年ものがたり」です。
こちらは山の風景を楽しみながら走る列車です。

[右が、最初にできた「伊予灘ものがたり」。左が「四国まんなか千年ものがたり」]

朝10時過ぎの多度津駅ホーム、音楽を鳴らしながら3両編成の列車が滑り込んできます。
明らかに特急車両とは違う外観で、車両ごとに色が異なります。
 1号車は緑色、春萌(はるあかり)の章、
 3号車は赤色、秋彩(あきみのり)の章、
 2号車は左右で色が異なり片側が夏の青、片側が冬の白。
3両編成で四季の移ろいをイメージしています。
アテンダントさんに導かれて車内に入ります。
古民家をイメージして作られたという落ち着いた作り、いろりの上部のような木組みや、暖かい色合いの照明がいい感じです。

[1号車/春萌(はるあかり)の章(2017年撮影)]

[2号車車内(2017年撮影)]

[3号車/秋彩(あきみのり)の章(2017年撮影)]

10時18分 多度津駅出発です。
多度津駅をはじめ、いろいろな駅や沿線で、駅員さんや地元の方々が手を振ってくれます。
多度津駅を出発したものの、あっという間に最初のイベント琴平駅に到着です。
こんぴらさんに近い琴平駅には、この列車専用の「ラウンジ大樹」があります。
ウエルカムのスープをいただきながら、ラウンジでくつろぎます。
部屋の奥を見て、びっくり。
金色の畳があります。
地元琴平のプロジェクトで寄贈された金の水引を使ったたたみ。
ものすごくありがたい感じで、記念写真スポットにもなっていました。

[琴平駅の専用ラウンジ、ぴかぴかの畳がまぶしい]

琴平駅を出発すると、食事の時間の始まりです。
今回のテーマは「讃岐三畜と旬の地元野菜の洋食プレート」です。
前半は冷製料理から。
4つに分かれた、美しい盛り付けです。
肉、魚、野菜、それぞれのアラカルトで、地元の味を堪能できます。
できれば、お酒も……さすがに撮影中でムリでした。

[前半の冷製料理、美しくておいしい料理を堪能]

[イイダコのオイル煮イクラ添え 高瀬町産のグレープフルーツのドレッシング]

[地元産の若鶏、瀬戸内産の真鯛などを使った料理もおいしい]

前半の食事も落ち着いたころ、ふたつ目のイベント、秘境駅で有名な坪尻駅に到着です。
この駅は、いったん駅を通り越してバックでホームに入るスイッチバックの駅。
車では近づけず、徒歩でも急な山道を歩かなくてはならない、秘境駅中の秘境駅です。
この駅でしばらく停車して、駅付近を散策、駅から見上げると深い谷底に駅があることがわかります。

[スイッチバックの秘境駅坪尻駅、横の通過線を特急列車が駆け抜ける]

[車ではたどり着けない坪尻駅は、深い山の谷底にある]

行程のほぼ中間の、阿波池田駅を発車すると料理も後半、温製料理です。
地元のオリーブ豚のフリカッセ(クリームソース)と普通寺産のダイシモチ(麦)のピラフです。
列車の揺れにちょっと疲れたお腹にやさしい味わいで、楽しめます。

[後半に出る温製料理、あたたかくてやさしく気遣いの味]

そして、デザートとコーヒーが出るころ車窓はクライマックスの大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)渓谷へ。
ビューポイントではゆっくりと走ってくれて、風景も堪能しつつ終点の大歩危駅に到着です。

[デザートタイムは、絶景を眺めながら楽しめる]

さて、料金です。
 多度津駅~大歩危駅の乗車料金+グリーン料金で3740円。
 下り列車の料理は5500円(いずれも2018年4月現在)
各料理やサービス、風景などなど、たっぷりとゆったりと楽しめて、かなりリーズナブルだと思います。
四国に旅するときには、ぜひ乗ってみてください。
「四国まんなか千年ものがたり」は金曜~月曜を中心に運転されています。
また、料理は季節や上り下り列車によって変わります。
運転日、料金、予約方法などの詳細はJR四国のホームページでご確認ください。
次回は土讃線の後半、幕末維新号編の予定です。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。
 主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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