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ディープスポットが街のネオンに潜む

”ガード下”。それは本来、線路や高速道路の高架下を意味する言葉だが、暗黙のうちに飲み屋街と同義になっている。試しに隣の人に言ってみるといい。「今晩ガード下行かない?」きっと相手はニヤリとしながら、こう言うでしょう。「いいねえ」。
 そんな魅惑のガード下。都内に何ヶ所かあるが、特に神田には昭和を感じさせる名酒場が軒を連ねていた。

大観(最寄り駅:神田駅)

煮込み 450円
昭和39年の創業。刺身をはじめ、揚げ物、焼き物などの一品料理が種類豊富に揃っており、どれもリーズナブル。駅出口から至近という立地の良さもあり、使い勝手は抜群だ。

 昭和39年創業の『大観』。正直言ってしまうと、値段は安いけど、つまみの味は可もなく不可もなく。
「悪くないけど、どの街にも1軒はありそうだよね」
 わざわざこの店を目指して来るほどではないが、駅で待ち合わせて、「どこ行く?」となった時には便利だ。
「改札からめちゃくちゃ近いのが、いいですよね」
 席数も多く、空いているので覚えておくと何かと使えそう。

 このすぐ近くにあるのが『次郎長寿し』

次郎長寿し(最寄り駅:神田駅)

刺身盛り合せ
大将おまかせの刺身で、この日はトロ、甘エビ、赤身、ツブ貝、赤貝など。刺身は分厚く食べ応えも充分

「大丈夫でしょうか、この店」
「天井、しなってない? 今にも抜けそうなんだけど」
 ある意味趣たっぷりの店内なのだ。ここで味云々を言うのも野暮な話だが、刺身や寿司はまあまあといったトコロ。品書きはないので、それぞれの値段は不明だが、ふたりでソコソコ飲んでつまんで8千円チョイ。こういう店が、今も残っているというキセキを味わって欲しい。

 さて、「神田小路」という一画をご存知だろうか。表の通りには、何軒もの看板は出ているが、内部は一切不明。
「いかにもガード下っぽいけどねえ……」
 アヤしさ満点。入りにくさ無限大。とりあえず、入り口の扉を開けてみる。
「へえ、全部の店がつながっているんだ」
 小さな店が商店街のように連なっており、そんななかからまず入ってみたのが『酒亭ふじくら』。お母さん手作りのつまみは、家庭的で素朴な味わい。次に入った『くつろぎの店 翠』は、オーナーが曜日によって違うマスターに店を貸し出しているそうで、この日はおでんの店。
「ふうん、なんか複雑ですね」
 どちらの店でも、我らのような一見が入っていくと、ちょっとビックリされる。「よく入って来れたね」
 と、常連が口々に言うほど、フリーの客は珍しいのだ。でも飛び込んでしまえば、客同士の距離が近くて、はじめて会ったとは思えないほど会話も弾む。勇気を出して、ぜひ扉を開けてみてほしい。

 最後は焼き鳥の『伊勢』へ。

伊勢(最寄り駅:神田駅)

たたき 432円
鶏挽き肉を団子にしてレアに焼き上げた「たたき」は必食。ワサビをといた甘いタレが相性抜群だ

「稀少部位が数量限定ってことは、ちゃんと店でさばいているんだろうね」
 新鮮な鶏肉を使った串はどれもさすがの味だし、3人いる店員さんの掛け合いもコントかってくらいに面白い。
「ガード下に求めるすべてがこの店に集約されています!」
 ここに来ずして、神田のガード下は語れません。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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