カレーの魅力は無限大。つまりカレーはどんどん進化するメニュー。そんな進化し続けるカレーには、本格インドの味わいから、日本独自に生まれたミックス系のものまでさまざま。なかでも東京で注目されているカレー店をフィーチャーします!撮影/西崎進也、貝塚 隆(プラウマカレー、Blakes) 取材/岡本ジュン
画像ギャラリーやっぱりインディア(最寄駅:大塚駅)
カレー好きの間で話題の的。人気店出身のインド人兄弟シェフが大塚に店を開いた。
『シバカリーワラ』と『ダバ・インディア』。この2つの人気店でそれぞれ腕を振るったインド人シェフ二人が店を開いた。
となればカレー好きの間ではすでに話題の的。
二人は兄弟で、いつか一緒に店をやりたいという願いを叶えたのだ。
主軸は出身地である北インドの料理。
コクがあるのに軽やかな「バターチキン」や驚くほど口どけ滑らかな「サグパニール」は絶品。
兄のスレンダジさんは、南インド料理の名店『グルガオン』と『ダバ・インディア』で23年も務めたベテランシェフ。
そこで得意の南インド料理も少しだけオンメニューしている。
今すぐにでも食べたい話題の最旬カレーだ。
旧ヤム邸 シモキタ荘(最寄駅:下北沢駅)
下北沢に大阪を代表するスパイスカレーの人気店がやって来た。
大阪では市民権を得ている“スパイスカレー”をご存じだろうか?
インドでも和風でもないフリースタイルで、スパイスたっぷりだが刺激的と言うよりはむしろ淡く優しい味わい。
ダシの旨みがまろやかに利いていて、さながら毎日でも食べられるお惣菜のごとし。
その人気店のひとつ『旧ヤム邸』が下北沢に進出。
店主の植竹さんは「大阪の“なんでもあり”がスパイスカレーなんです」と笑う。
注文方法がまた独特で、本日のカレーに3種類の日替わりキーマを組み合わせるのだ。
ちなみに東京の一番人気は全部がけ。
古民家風のインテリアが和むこの店は接客も大阪スタイルで親しみやすい。
カレー&オリエンタルバル 桃の実 水道橋店(最寄駅:水道橋駅)
スパイシーだけど白飯がすすむ「魅惑のカレーライス」
「いつか自分らしいカレーが作りたい。」そんな思いを抱えて店主の加来さんはインドにも修業に行った。
本郷にあるフレンチとインド料理が融合した『桃の実』やいくつかのカレー店を経て、ついに桃の実姉妹店となるこの店でカレーデビューを果たす。
目指したのは、日本のご飯と相性のいいカレーだ。
渾身の「チキンカレー」は、チキンストックを使うことで白いご飯との相性がグンとアップ。
マトンカレーは肉を骨付きで仕込み、旨みをじっくりと引き出している。
スパイスの香りとご飯に絡む旨みが共存した、インドと日本のいいとこどりが絶妙だ。
プネウマカレー(最寄駅:高田馬場駅)
瀬戸内の海が育てたアンチョビが隠し味の名作カレーライス
店主の長谷さんは趣味のカレー歴が約20年。
かなり攻めたカレーを完成させていたが、店を開く直前に大きな転機がやって来た。
いりこで有名な香川県伊吹島のイベントでカレーを作ることになったのだ。
先方の注文は「お年寄りや子供も食べられるカレー」。
そこでインド料理などを日頃口にしない人たちにも喜んでもらえるカレーを作る。
伊吹島の鰯を使ってこのミッションをやり遂げた長谷さんは「これで行こう」と決心した。
アンチョビの優しい旨みが全体を包むルウは、ほどよいスパイス感がいい。
カレーの名作がまたひとつ、高田馬場に誕生した。
ウミネコカレー(最寄駅:幡ヶ谷駅)
スパイシーなのにとろりとご飯に絡む優しい味わい
幡ヶ谷にある喫茶店のような静かな佇まいの『ウミネコカレー』。店主の古里さんはミュージシャンでもあり料理人でもある。
カレーはスパイシーながらどこか懐かしい温かさに満ちている。
「幅広い年代に食べやすいカレーを」という古里さん。
ご飯によく合う日本のカレーのようなとろりとした味わいを意識しつつ、香るスパイスが食欲をかき立てる。
材料は国産にこだわり、粒立ちのいい米とニンニクは青森産、油は良質なものを吟味して、使う量も極力控えて胃にもたれないように、と食べ手への思いやりも深い。
食後は美味しいコーヒーでゆったり過ごせば至福の時間だ。
魯珈(最寄駅:大久保駅)
カレーと魯肉飯よくばりに2つを合いがけで!
「ロカ」という不思議な響きの店名は、台湾の魯肉飯とカレーに由来する。
幼い頃からカレー好きという店主の齋藤さん。
学生時代にアルバイトした台湾居酒屋で魯肉飯と恋に落ち、ついにこの2つが主役の店を開店。
大久保という場所を選んだのはスパイスを売る店が近いから。
香りが命のスパイスを必要なだけ新鮮な状態で買えるのが強みだ。
南インドカレーの『エリックサウス』でみっちり基礎は学んだが、そのエッセンスを生かしつつ目指したのは“日本のご飯がかきこめる”カレー。
名物は両方を合いがけした「ろかプレート」だ。
定番に加え週替わりの限定カレーも魅力的で思わず通いたくなる。
Blakes(最寄駅:千駄ヶ谷駅)
伝説のカレー店“GHEE”は千駄ヶ谷で復活を遂げる。
かつて神宮前にあった『GHEE(ギー)』は伝説である。
そのカレーに影響を受けた店も少なくない。そしてついにこのカレーは千駄ヶ谷で復活を遂げる。
料理を手がけた赤出川治さんが店を移る度にファンは追いかけた。
そしてついにこのカレーは復活を遂げる。
その魅力は唯一無二の味わいで、辛口のビーフは滲み出る辛さが鮮烈に口の中を駆け巡り、バターチキンはソフトな口当たりの中にシャープなスパイス感を潜ませる。
インド人シェフにスパイス使いを学んだという赤出川さんは、そこからさらに自分なりの到達点を見出したのだ。
ヌケ感のある空間や音楽が醸し出す空気感もまた、“赤出川さんのGHEE”復活をはっきり感じさせる。
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