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100年の歴史と重み カレーが掛かってるのにカツの衣はサックサク

河金

まぁ寄り道はそのくらいにしていよいよ、念願の「河金」へ。知らなきゃ絶対、入りそうもない裏路地にポツンとお店はある。実はここも、住所的には下谷に当たるらしい。

もう、本当に普通。どこにでもある町のトンカツ屋さんにしか見えませんよねぇ。とんでもない由緒があるお店なのに、威張ったようなところが微塵もない。これだけでもう好感、満点です。

中は小ぢんまりした店内で、テーブル席が2つと、小上がり席が2つだけ。壁のあちこちに手書きのメニューが貼り出してあり、飾りっ気が全くない。これまた好感度、充分。あれもこれも食べたくなるところだけど、ここは初心貫徹、で河金丼(750円)を注文します

すると、出て来たのが、これです――

いやぁ、たまりませんよねぇ。

カツカレー丼の河金丼(750円)

たっぷりカレーが掛かってるので、載ってる具材が何かも見えないくらい。カツの下には刻みキャベツが敷かれてて、ここはカツ丼風。ところが脇に福神漬けも添えられてて、こっちはカレー風、ですね。両方の折衷、のようなニュアンス。

おまけにスプーンかと思ったら、これ、フォークでした。確かにカレー皿にカツカレーならフォークとスプーンだけど、丼飯ではあまり体験することないですよねぇ。あちこちオリジナリティ溢れる一品です。

食べてみると、これだけカレーが掛かってるのにカツの衣はサックサクの歯触りを維持。カレーは、小麦粉を炒めた昔風の味で、そうそうこれこれ、と私らの年代は言いたくなる。子供の頃、食べたカレーってこうだったんですよねぇ。スパイスの香りを効かせて、なんて本格インド風などなどが出て来たのは、ずっと後のことで。

いやぁ〜、店構えから味から、全てが懐かしい。100年の歴史の重みがあるのに、それを全く感じさせない。あっさりふんわり、包まれるような味。逆にこれ今時、貴重ですよ!

あっという間に完食でした。

身体が喜んでるのが分かる美味しさでした。大満足。ご馳走様っ!!

「河金」の店舗情報

[住所] 東京都台東区下谷2-3-15
[電話]03-3873-5312
[営業時間]11時~14時、17時~19時半
※新型コロナウイルス感染拡大の影響で、営業時間や定休日は異なる場合があります。
[休日]土曜
[交通] 地下鉄日比谷線入谷駅2番出口から徒歩約1分、JR山手線鶯谷駅南口から徒歩約6分

西村健

にしむら・けん。1965年、福岡県福岡市生まれ。6歳から同県大牟田市で育つ。東京大学工学部卒。労働省(現・厚生労働省)に勤務後、フリーライターに。96年に『ビンゴ』で作家デビュー。2021年で作家生活25周年を迎えた。05年『劫火』、10年『残火』で日本冒険小説協会大賞。11年、地元の炭鉱の町・大牟田を舞台にした『地の底のヤマ』で日本冒険小説協会大賞を受賞し、12年には同作で吉川英治文学新人賞。14年には『ヤマの疾風』で大藪春彦賞に輝いた。他の著書に『光陰の刃』『バスを待つ男』『目撃』など。最新刊は、雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編『激震』(講談社)。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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西村健
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