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「東京3大銀座」の一つ

今回のバスグルメでは東京の古い商店街を巡ります。そういうところだったらきっと私好みの、味のある食堂も見つかるに違いない、と睨んで。

ただ、考えてみれば商店街って、駅前なんかに普通ありますよね。人通りの発するところに自然発生的に、商店街も生まれる。なのに電車で行けば簡単なのに、なぜバスで行くの? と問われれば答えに窮してしまう。

そこで電車ではなかなか行きにくく、バスで行った方が楽な商店街、に絞ってターゲットとします。そうすると自然と、第1回にふさわしいところが浮かんだ。

「砂町銀座」

「東京3大銀座」の一つ(もちろん「本家」銀座は含まれないし、選ぶ人にとって異説もありますが)に数えられるにもかかわらず、どの駅からも離れているので有名。ね、今回のテーマにぴったりでしょう。

ただし事前にバス路線図で見てみると、電車では確かに行きにくいけど、近くを走るバス路線はかなり多いことが分かった。JR錦糸町や亀戸あたりからバスに乗り換えれば、難なく着いてしまう。

でもそれじゃ、面白くない。

あれこれ検討した結果、都バス「秋26」系統に乗ることにしました。JR秋葉原駅と東京メトロ東西線の葛西駅とをつなぐ路線で、目の前というわけではないけれど「砂町銀座」の近くも通る。そこそこの距離を乗ることになるから、これは楽しそうだ、と踏んで。

秋葉原駅前から乗車

方向感覚を失う楽しみ それが路線バス旅の魅力

てなわけで早速、秋葉原駅前から件のバスに乗り込みます。

バスは駅前のロータリーを出ると、「昭和通り」を右折して走り出します。ところがすぐにまた右折。JRの高架を潜ってしまいました。これじゃ、反対方向じゃないの!?

「中央通り」に出ると、今度は左折。万世橋で神田川を渡りました。しばらくこの道沿いに行くのかな、と思ったら神田駅の目の前で、また左折。もうこうなると、乗っていてわけが分からなくなる。俺、今どっちを向いて走ってるんだろう? 同時にワクワクして来る。個人的な意見ながら、これが路線バス旅の楽しみの一つなのです。

その後もバスは複雑な右折左折を繰り返す。路線図を見てください(青線で示してるのが「砂町銀座」)。ね、本当に出発後しばらく、ぐにゃぐにゃと折れ曲がってるでしょう。そうして東神田で清洲橋通りに出て、後はずっとこれ沿いに走り出す。

「秋26」系統で「砂町銀座」へ

そうしたら「明治座」の目の前で、停車。芝居見物を終えたらしいオバチャン達が、ぞろぞろと乗って来ました。花を持った人も何人かいる。閉演時、舞台に駆け寄ってお目当ての俳優に渡そうとしたのに、上手くいかなくて持ち帰るしかなかったのかなぁ。そんな風に乗客を観察して、勝手に想像を膨らませるのも、楽しい。

いやいや途中が面白すぎて、目的の商店街に着くまでに書き過ぎてしまいそう(笑)。バスは清洲橋で隅田川を渡ると地下鉄、清澄白河駅の上を走り抜けます。その先が、扇橋。講談社のWebマガジン「tree」の連載、「日和バス」のロケハンでここは来たことがある。ところが来る時の方向が違ってたので一瞬、戸惑いました。ははぁ、あの時とは90度ズレて、こっちの側から扇橋を渡ったわけか……あぁいかん、楽し過ぎるっ!

通りは南東に方向を変えて続きます。途中、立体交差を潜った。と、思ったら次が目的の「境川」バス停でした。停車ボタンを押して、下車。

通りをちょっと戻ると明治通りとの交差点。これを北へ行くと、「砂町銀座」の入り口に着ける筈。やがて目の前に、ずらりと並んだ行列が見えて来ました。どうやらお寿司屋さんに入る順番待ちみたい。まだ商店街には至ってないけど、そろそろっぽいなぁ、との感じが増して来る。

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明治座の弁当が売られている!...
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西村健
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