×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

昭和の薫り漂う店構えに惹かれて入ったら、大当たり

さて一通り、商店街を歩いてみてどこの店に入るか?

実は既に、胸の中でほぼ決めてました。バスに乗って来る最中、路地の奥がふっと覗けてムチャクチャ気になる店があったんですよ。砂町銀座からはちょっと外れるけど……。商店街にも気を引かれる店はあったけど、やっぱあそこしかないな、と。

そこで商店街を逆戻りし、西口側を出て更に歩きます。バス停、2つ分くらい手前だったけど通りが大きく曲がってたから、真っ直ぐ行けばそんなに遠くない筈だ、と睨んで。

かくして辿り着きました。これですよ、この店構え! これを見てしまったら、入らないという選択肢はあり得ないでしょ!?

三好弥

入ると、カウンターにテーブルが3つだけ、と小ぢんまりした店内。これがまた好み好み。メニューを見るとそそるものがいくつもあったし、「日替わり定食」にも惹かれたけど、まぁ暖簾にも書いてあったし素直に「とんかつライス」860円を注文しました。

そしたら、出て来たのがこれですよ!

とんかつライス
見よ!このボリューム

すっごいボリューム。これで860円で、いいの? おまけに味噌汁かと思ったら、何と豚汁でしたよ。

カツが分厚いので箸で持ち上げるとコロモからすっぽ抜けそうになったけど、持ち直して、別添えのソースに浸ける。食べるとコロモのサクサク感と、ソースの染みた肉の旨味が口の中で一体に。あぁ、快感。とんかつはやっぱり、こうでなくっちゃ!

目の前のテーブルでは常連らしいお婆ちゃんと、店のオバチャンとがお話ししてる。「今日、病院に行って来たんだけど混んでてさぁ。すごく待たされちゃった」

そんな日常の会話を聞きながら、地元の味を楽しむ。幸せですよねぇ。日本に生まれて、よかった!!

家に帰って調べたら、「三好弥(みよしや)」という洋食店は都内のあちこちにあるそうで、愛知県三河出身の初代が大正時代に小石川柳町(現在の文京区小石川1丁目あたりらしい)で創業し、そこから暖簾分けで次々、増えて行ったところだそうな。

そんなこと全然、知らなかったけどバスの窓からちらりと見えて、気になって入ってみたら大当たり! というこの展開。そもそも砂町銀座にバスで行ってみようとしなければ、この出会いもなかったわけで。まさにバスグルメの醍醐味はここにあり、ですよね。

あぁ、美味しかった。ご馳走様っ!!

「三好弥」の店舗情報

[住所]東京都江東区北砂1-6-7
[電話]03-3644-2323
[営業時間]11時〜20時
※新型コロナウイルス感染拡大の影響で、営業時間や定休日は異なる場合があります。
[休日]日・祝              
[交通] 都営地下鉄新宿線西大島駅から約25分

メニュー

西村健

にしむら・けん。1965年、福岡県福岡市生まれ。6歳から同県大牟田市で育つ。東京大学工学部卒。労働省(現・厚生労働省)に勤務後、フリーライターに。96年に『ビンゴ』で作家デビュー。2021年で作家生活25周年を迎えた。05年『劫火』、10年『残火』で日本冒険小説協会大賞。11年、地元の炭鉱の町・大牟田を舞台にした『地の底のヤマ』で日本冒険小説協会大賞を受賞し、12年には同作で吉川英治文学新人賞。14年には『ヤマの疾風』で大藪春彦賞に輝いた。他の著書に『光陰の刃』『バスを待つ男』『バスへ誘う男』『目撃』など。最新刊は、雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編『激震』(講談社)。

icon-gallery
icon-prev 1 2 3
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

西村健
西村健

西村健

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…