「さいち」に感動、ヤオコーでもおはぎを看板商品に
ヤオコーでおはぎを取り扱い始めたのが2003年。川越南古谷店(埼玉)オープンのことです。
看板商品を作ろうとしたのがきっかけです。おはぎに注目し、商品開発のため当時のバイヤーがおはぎで有名だった仙台・秋保温泉のスーパー「主婦の店さいち」を訪れました。商品は仙台名物として名高い逸品です。
「さいち」のおはぎは賞味期限が当日で、地元以外で販売されることはほとんどありませんが、それでも1日に約5000個を売るという超人気商品です。バイヤーもあんこたっぷりのおはぎのボリュームとおいしさに感動しました。
何よりもおはぎを求めてやってくる熱心なお客さんの姿に「ヤオコーでもぜひそんな商品を作りたい!」と強く心に思ったといいます。
早速、さいちに志願して、おはぎの製造方法を学びました。指導を受け、作った商品はさいちから「関東で食べられるさいちのおはぎ」とのお墨付きをもらうことができました。
余談ですが、先日、東京・銀座で開催中の東日本各地のグルメを集めたイベント「のもの POP-UP STORE」で、さいちのおはぎを初めて味わうことができました(催事でのおはぎの販売は終了しました)。
ボリュームたっぷりのあんこに、ほおばるとしっかりとした甘さが口の中に広がります。ヤオコーのおはぎ同様、1つでかなり満足感があり、ヤオコーのものよりは甘さが強い印象です。ぜひとも食べたくなる味です。
「おはぎ検定」の有資格者が守るヤオコーの味 糖度にもこだわり
その後、ヤオコーは小豆の味を感じられるあんこにするため、商品を改良。店舗展開する関東地方で支持される味を作り上げていったと言います。
現在は埼玉県東松山市にある自社工場で全店に流通するあんこを製造しています。一般的なサイズの鍋と、大きな工場で使う鍋では火加減なども異なるため、工場の設立当初は鍋で煮詰めたあんこと同じ様に、安定した品質を実現する事が大変だったそうです。
ヤオコーがおはぎ作りでこだわっているのがあんこの糖度。通常のおはぎが45度(自社のリサーチによる)に対して、自社工場で38~39度の低糖度に設定しています。低糖度のため、賞味期限が短くなりますが、より小豆の美味しさが引き立ち、何個でも食べられるようになるのだとか。粒あんの美味しさをしっかり味わってもらいたいという思いから、粒あんともち米の割合を2(80g):1(40g)という「黄金比」でおはぎを握っています。
ヤオコーは関東一円でチェーン展開しているので、おはぎを握る各店で同じ味、品質で提供しなければなりません。ヤオコーではおはぎを握るための技術認定試験「おはぎ検定」を設けており、実際の製造作業にならった手順で形、重量(お寿司の職人さんが手でシャリを量るイメージです)、握るスピードなどを審査しています。合格した人のみがおはぎを握ることができ、現在、社内にいる510人の合格者の手で美味しさを守っています。