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国内外のアーティスト2000人以上にインタビューした音楽評論家の岩田由記夫さんが、とっておきの秘話を交えて、昭和・平成・令和の「音楽の達人たち」の実像に迫ります。1970年代から80年代にかけ、スタジオにこもって傑作アルバムを次々に生み出した印象の強いミュージシャンですが、第2回では音楽以外のユニークな側面がつづられます。大の野球好きとしてファンには有名ですが、そのライヴにも特徴があって……。

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ラジオ放送中に「試合がどうなっているか、テレビ観て来て!」

現在ではサッカーにその座を奪われつつあるかも知れないが、昭和の時代、もっともポピュラーだったスポーツは野球だったと思う。2021年、野球人として長嶋茂雄さんが初めて文化勲章を授与された。野球というスポーツを団塊の世代の少年たちに知らしめたその功績は大きい。4番サード、長嶋は野球という世界だけでなく、世の中を明るくする存在だった。

大滝詠一も大の野球ファンだった。ラジオ番組にゲストに招く。それが野球放送の時間だとスタジオから声が掛かる。“岩田クン、ちょっと今、何回で試合がどうなっているか、事務所のテレビ観て来て!”とよく命じられたものだ

はっぴいえんど時代、ファースト・ソロ時代から大滝詠一のファンだった方は『A LONG VACATION』(1981年)の大ヒット以前のライヴを覚えていると思う。ステージにバットとボールを持ちだして客席にノックする。野球好きらしい聴衆サービスだった

そう言えばプロ・サッカー選手の手前まで行き、故障で夢を断念したロッド・スチュアートはステージからゴムでできたサッカーボールを蹴り出してファン・サービスしていた。ライトアップされ、ショー化したステージも良いが、大滝詠一やロッド・スチュアートのような手作り感たっぷりのステージも楽しいものだ。

1981年のアルバム『A LONG VACATION』(中央上段左)と84年の『EACH TIME』(同右)。『EACH TIME』を最後に、2013年に亡くなるまで、新たなオリジナル・アルバムが作られることはなかった。「クリスマス音頭」が収録された『NIAGARA CALENDAR』(右から2枚目)

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岩田由記夫
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