変容と混沌が生み出す関東ローカルそばスター
小誌『おとなの週末』は全国誌である、という立場上、関東以外の読者の皆様ももちろんいらっしゃる。
そんな関東以外の読者の皆様は食べたことございますか、コロッケそばなるものを!?
かけそばにコロッケひとつ。
文字通り、それがコロッケそばである。
「なんじゃそりゃああ?」
そう驚愕された方も、いらっしゃることでしょう。しかし、関東の立ち食いそば店(といっても今や座れる店がほとんどですが…)では、もはや当たり前のポピュラーメニュー。ですんで、文頭からここまでの文章は、関東の人間にしてみりゃ“いらぬ説明”ですらある。
いまから40年近く前、初めて立ち食いそば屋で“コロッケそば”という文字を見た時は私もも確かに、「なんじゃそりゃああ?」と驚愕した記憶がある。
しかし。驚愕しつつも、絶対に美味しいに違いないと確信して注文した記憶も同時にある。
その確信の裏付けにあったのは、どうなろうがコロッケは旨いに違いないという、コロッケへの絶対的信頼感。
そしてその通りだった!
その思いは今も変わらない。
立ち食いそばの王道、天ぷらそばのかき揚げ天は、そばの美味しさを確実にブーストさせてくれる。
だがコロッケは、そばをブーストさせるのみならず、まずはコロッケそのものの美味さを味わえ、さらに食べ進むうち、いつしかジャガイモが溶け出たツユはトロトロに変容し、それがそばと絡み合い混沌とした世界を丼の中に生み出す。
その味わいの鮮烈さよ!!
変容と混沌。トランスフォーム&カオス!!
これぞコロッケそばの醍醐味。
などと面倒臭いことを書き連ねましたが、人それぞれ好みの食べ方で、ただ一心不乱になんも考えず喰うのが一番美味い。
取材中、某駅ホームの立ち食いそばの食券自販機でコロッケそばだけが売り切れだった。
「コロッケそば売り切れ?」
店員さんに聞くと即答された。
「コロッケそばは人気あるんですよねェ~」
やっぱりみなさんわかってらっしゃるのであった。
写真・文/カーツさとう
※店のデータは、2022年1月号発売時点の情報です。
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