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春キャベツを見かけると、鰻屋へ行きたくなる

桜前線北上中の春、ニッポン。古くからの生活暦・二十四節気では「清明」と呼ばれる時期となります。今年の場合は、4月5日~19日にあたり、大辞泉によれば、「天地がすがすがしく明るい空気に満ちる」とあります。まさに春爛漫の頃です。

66歳のオイラ、すべてに鈍感なジジイとなってしまいましたが、春の息吹は至るところで感じております。

たとえば、八百屋の店先に並ぶ春キャベツ。巻きがゆるく、色も黄緑色っぽいのが特徴ですが、葉のやわらかさと、食べたときの甘味は、いつものキャベツとはまったくの別物です。

葉がやわらな春キャベツ。巻きがゆるく黄緑色

「あ~、キャベツの浅漬けが食べたくなった。じゃ、鰻のKKに行くか」

というのが、オイラの春爛漫の頃の行動パターンです。謎のボケ行動ではありません。なぜ、春キャベツを見ると、鰻屋へ行きたくなるのかーー。はい、これから順を追ってご説明いたします。

オイラは、大の鰻好きです。好きなものを順位づけすると、鰻→寿司→すき焼きとなります。 なぜ、鰻が一位なのか。それは、鰻といえば蒲焼きだから。家では絶対に作れない、ありつけないものだからです。

オイラの大好物は鰻。こちらは神田きくかわの「鰻重イ」

寿司も大好物ながら、握り寿司とは限りません。のり巻き、ちらし寿司、いなり寿司とくれば、おふくろの味でもあります。すき焼きも、家のごちそうのひとつ。お父さんが案外頑張るメニューかもしれません。

ところが、鰻の蒲焼きとなるとそうはいきません。 知る限りですが、家で蒲焼きを「普通」に作るのは、鰻の養殖で有名な静岡の浜松の人ぐらいらしいですよ。なので、ときどき「鰻切れ」を起こすと、鰻屋に足が向きます。とくに焼いているときのタレが焦げるような独特のにおいをかいでしまうと、店の中に吸い込まれてしまいます。

鰻屋の唯一の難点は、鰻重であろうが、白焼きであろうが、注文してからかなりの時間を待つことです。裂いて蒸して、そのうえで、焼くのですから時間がかかるのも当然です。

オイラの愛読書『美味しんぼ』の1シーンには、「まっとうな鰻を食べるのに時間がかかるのは承知している」旨、フキダシに書かれていた記憶があります。

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鰻が焼けるのを待つ間の一品が、キャベツの浅漬け...
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沢田浩
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