アジア最大の食の祭典が毎年、春先に開催されているのをご存じでしょうか。食品・飲料の展示会「FOODEX JAPAN 2022」が、今年も幕張メッセで3月8日から2日間に渡って開催されました。『おとなの週末』のライター・白石が勝手に選んだ、今年ブレイクしそうな注目の10商品を4回にわたり、ご紹介させていただきます!
画像ギャラリー47回目を迎えた「FOODEX JAPAN 2022」。国内外の生産者や食材・飲料メーカーさんがブースを出し、ホテルやレストラン、スーパーなどのバイヤーさんに新商品などをアピールする場である。
今年も世界44か国の1485社が出展したものの、悲しいかな、コロナ禍やウクライナ紛争の影響から飛行機が遅れて会場に海外からサンプルが届かず、急遽、取りやめになった空き地のブースもちらほら。コロナ禍前と比べて全体的に規模縮小は否めない。
それでも、アジア最大と言われる祭典だけあって、とにかく広い。第1ホールから第6ホールまでぶち抜いて展示されているのだが、コロナ太りした私のような中年には端から端まで歩くだけで大変である。果たして、今年、ブレイクしそうな食材はあるのか? ではさっそく見て回ろう。
肉々しいのに、こんにゃくとおから!?
そんな体の重い私がまず向かったのが、ベジタリアン向けの食材が結集した話題の「代替食品・新食材」エリアだ。最近、大手コーヒーチェーンなどでも大豆ミートハンバーガーなどが売られるなど、日本でも浸透しつつある疑似ミート。ローカロリーで健康的と聞くけれど、その反面、モゴモゴとゴムのような食感とどうしても豆の臭みが強い“ミート”ばかりで好きになれなかったのだが……。
さてさて、ブースに近づいていくと、「カツ、どうですか~! タコスもあります~!」と呼び込みが。見た目は普通に美味しそうなカツにタコス。思わず手が出てどちらも試食させていただくと、これは……。本家本元の豚肉に劣らず、肉々しいではないか! パサパサするどころか、噛めばいっちょ前にジュワーっと肉汁が溢れ出す。
「うまく肉に化けたな……あの~、こちらの材料、豆ですよね?」と、配っていた企業「ディーツ」のお姉さんに声をかけると、「いいえ、これはおからとコンニャクでできています」と、驚きの答えが。
食感が肉っぽいのは弾力のあるコンニャクが入っているからだろう。おまけに低カロリーで食物繊維が豊富で健康にもいい。また、豆そのものではなく豆腐を製造する時に出る、おからは食材として食卓に上がるのはごく一部。捨てられてしまうおからも有効に活用されて食品ロスにつながる上、値段も安く抑えられるそう。
残念ながら、試食で食べたサクサクのカツは、今のところは業務用での販売のみとのことだが、家庭用に下味がついた「ディーツミート」シリーズが4月上旬から首都圏の大手スーパーなどで、順次、お目見えするそうだ。
市販されるのは唐揚げ風のブロックタイプ、つくね風のボールタイプ、そして試食のタコスに入っていたミンチタイプの3種類。1パック80グラムほどの使い切りタイプなので、お弁当にも一人暮らしにも強い味方になりそう。お値段は、同量のお惣菜と同じくらいで、思ったよりもお財布にやさしい。
我慢せずにダイエットできる疑似ミート、コロナ太り仲間への誕生日プレゼントはこのセットにしようかな。
■「ディーツミート」シリーズ 1袋80g オープン価格
ディーツフードプラニング株式会社
https://deats.co.jp/
老舗の醤油蔵が作った! バーベキューに持っていきたい万能調味料
続いてこちら。コロナ禍に家族でキャンプやバーベキューを始めた人も多いと聞く。だけど準備が実に大変。実は山女の私も、醤油や味噌など調味料をちまちま小分けにして持っていていたのだけど、液体は気を使うし、毎度、詰め替えが面倒だった。
しかし、このFOODEX会場で、いいものを発見! 「日本一しょうゆ」で知られる岡直三郎商店が開発した、その名も「日本一スパイス」。醤油を製造する時に絞った後の醤油粕を再利用し、数種類のスパイスを混ぜて作ったそう。味見してみるとただしょっぱいのではなく、しっかり醤油の味なのにガーリックが効いていて、魚でも肉でも何でも合いそう。
社員さんによると、「フライドポテトやステーキに振りかけても、おにぎりの塩代わりにもなりますよ」とのこと。まだ行きづらいけれど、海外出張でもポケットに入れていけば、和風の味付けが恋しくなったら活躍しそう。コンパクトで優秀な1本です。
■「日本一スパイス」80g 480円
http://www.nihonichi-shoyu.co.jp/
バーベキューで活躍! 焼いても溶けないキプロスのハルミチーズ
今年は参加も少なく寂しい海外エリアだが、そのなかでも賑わっている一角が。近づいてみると地中海の東に浮かぶ小さな島、キプロス共和国のブースであった。ワインや海塩、オリーブなどが並べられ、大使みずからせっせとオードブルを並べてPRに奮闘している。
トマトに白いチーズを刺したオードブルを「どうぞ」と差し出されたが、もしかしてこれはキプロス伝統のハルミチーズ? セミハードタイプで非熟成の塩漬けチーズで、匂いはほとんどない。しかし、口に入れてみると、日本のカマボコのような不思議な食感に、初めて食べた人なら驚くだろう。やさしいミルク風味で、クセは少なくさっぱりしていて酸味のあるトマトとよく合う。
「そのままパンに挟んだだけでも塩味が効いて美味しいですが、日本食材の大葉や海苔を巻いてもいいですよ。焼いても溶けないので、家庭でもぜひバーベキューにも加えてほしいですね」と大使のハリスさん。
そのままでも食べられて、両面をひっくり返してさっと焼くだけで料理の主役級。時短料理としても重宝するし、冷蔵庫で半年間、保管できる商品もあるので、常備しておいて損はない。聞けば、日本で現在、売られているハルミチーズは羊やヤギの乳に牛乳を混ぜたものだそうだ。
「日本人に馴染みのある牛乳が混入したチーズも、もちろん美味しいのですが、本来、キプロス伝統のハルミチーズはヤギや羊の乳で作るんです。ハルミチーズとひと口に言っても、いろいろな種類があるんですよ。ぜひ日本でもヤギや羊の乳だけで作ったハルミチーズをたくさんの方に味わってほしいですね」
羊の乳で作ったチーズはまろやかな味でサラダに、ヤギの乳は独特のクセがあって好みが分かれるかもしれないが、フルーツソースをかけたら合いそうだ。
日本では約250gで1000円から1500円前後で輸入食材店やネット通販などで売られているが、今回、取引先を増やして羊やヤギのチーズも、もっと広めていきたいそう。ワインにも日本酒にもビールにも合う不思議なキプロスチーズ、一度、試してみては?
以上、「FOODEX JAPAN 2022」で見つけた、気になる食品の紹介でした。第2回目は、健康にも良い「お酒のつまみ編」をお送りします。
取材・撮影/白石あづさ
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