それでもやはり、人付き合いは難しい
思い返してみると、昔から私は人と衝突することから逃げてきた。
大人になってからは、衝突しても構わない!と思うほど熱量がある仕事の時だけ意見を出すのだけれど、基本的には何事も穏便に進んでいくのを是としている。それは今も変わらない。
私は、自分ルールというか、これはこう、と決めることが多いので、それから外れた選択をする人間に対して、構えてしまうことが多々ある。
だから、それを伝えたところで衝突するのが目に見えているため、初対面の相手であっても、少し仲がいいと思える相手であっても、距離を取って人と接することが多い。
相手のことを深く知らなければ、それは酷いだろ、とか最低だな、とか思わないで済むし、予防線を張ることで、浅いかもしれないけれど、円滑な人付き合いができる。
他者と友好的な交流ができるのが、大人なのであれば、きっと私は大人と分類されるような対応ができていると思う。
深く立ち入らなければ苛立たないし、強い言葉を言わなければ衝突することも少ない。
とはいえ、大人になり、衝突を避け、似たような属性を持つ人間で周囲を構築したとしても、人付き合いは難しい。
というのも、職業柄とても悩む瞬間がある。
複数人で話をしていて、誰かがボケとも捉えられるような発言をしたときにツッコむか否かの問題である。
相手が芸人であれば、多少強めにツッコんだとしても、悪く思う人はいないし、なんなら喜んでもらえることが多いので、先輩だろうが関係なく「おかしいだろ」とか言えるのだけれど、これが芸人相手ではない場合、話が変わってくる。
芸人以外の職の相手に対して「何言ってんだよ!」とツッコむと、確かにその場では笑いが起きるものの、それをボケのつもりで言っていなかった人だった場合、相手を傷つけることにはならないだろうか。
とても迷う。
傷つけてしまうのであれば、間違いを指摘するのも野暮だし、その発言をスルーするのが一番円滑にその場を切り抜ける手段なのだけれど、「あの人芸人なのにツッコんでくれなかった」とガッカリされるのも癪だ。このラインが非常に難しい。