ヒゲタ醤油が日本唯一の料理の神様につくる「高倍」とは?

多くの料理関係者から支持される創業400年の老舗醤油メーカー「ヒゲタ醤油」。なかでも人気定番醤油「本膳」は高級割烹用しょうゆとしての豊かな風味を持ちながら、色、味、香りのバランスも整った味わいで評価が高い製品です。実は、…

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多くの料理関係者から支持される創業400年の老舗醤油メーカー「ヒゲタ醤油」。なかでも人気定番醤油「本膳」は高級割烹用しょうゆとしての豊かな風味を持ちながら、色、味、香りのバランスも整った味わいで評価が高い製品です。実は、このヒゲタ醤油が年に一回の限定醸造、完全予約制の「幻の醤油」を製造しています。

多くの料理人から愛される本膳

日本で唯一の料理の神様に感謝の意を込めて奉納される「高倍」

日本料理の神様「高倍神※たかべのかみ(磐鹿六雁命※いわかむつかりのみこと)」の名に由来する「高倍(たかべ)」というこいくち醤油のことです。

高倍

11月23日の新穀感謝祭に、この高倍神がまつられている高家(たかべ)神社(千葉県南房総市)に感謝の意を込めて奉納するため、1996年から年に一度だけ特別に醸造しています。「神様からのおすそ分け(お福わけ)」という形の限定発売です。

日本で唯一の料理の神様をまつる高家神社(高家神社提供)

高家神社は日本で唯一の料理の神様をまつる神社です。古来からの作法を守った庖丁式の儀式を執り行う事でも知られ、料理、食品関係者が広く参拝に訪れています。この高家神社とヒゲタ醤油の縁は深く、1911年(明治44年)に千葉県銚子市にあるヒゲタ醤油の工場内に分祀社を設けています。

ヒゲタ醤油の営業企画部の常陸輝行さんによると「発売時期が11月末なので、時期的にお歳暮の贈答用に使われる方もおります。また、お正月まで開封せず楽しみに取っておいて、新年のはれの料理に使う方もいるといいます。神様へお供えする為に造った醤油をお福分けする意味合いの縁起の良いものとして、喜んでもらっています」と話します。

高倍は3大原料である大豆、小麦、塩はすべて国産素材のみを使用。富山県産の大豆『エンレイ』、北海道産の小麦『春よ恋』、香川県産『瀬讃の塩』を使用してつくられる醤油です。「キリッとしたすっきりした味わいが特長のお醤油です。 また、昨年より、瓶タイプよりも使いやすい密封ボトルに変更しています」(常陸さん)

価格は450ml密封ボトル入りで2100円(税込)です 。 前述の本膳が450ml密封ボトル入りで510円(希望小売価格)なので、その価格差は4倍以上。この価格を聞くと普段の料理に使うのは少々勇気が要りますが、ぜひ一度味わってみたい逸品です。

江戸造り醤油がコンセプトの「玄蕃蔵」

左から玄蕃蔵(密封ボトルタイプ、瓶タイプ)、玄蕃蔵生

ヒゲタ醤油にはもう一つ、幻の醤油「玄蕃蔵」があります。

常陸さんによると、玄蕃蔵の名はヒゲタ醤油の創業者である三代目田中玄蕃の蔵でつくっていたことに由来します。創業当時(江戸時代初期)の歳時をふまえて作り上げた「江戸造り醤油」をコンセプトにしています。

江戸時代の歳時とはどのようなものでしょう?

「仕込式から蔵出し式までを江戸の五節句(※)に合わせてとり行います。特に蔵出し式の日は、五節句の中でもなじみのうすい『重陽の節句』(秋の収穫を祝い、長寿を祈る菊の節句)とし、江戸の五節句を今、再現させようという社長の願いをこめたものです」(常陸さん)と説明します。

(※) 五句節…人日(じんじつ)・1月7日、上巳(じょうし)・3月3日、端午(たんご)・5月5日、七夕(しちせき)・7月7日、重陽(ちょうよう)・9月9日の五つ。ヒゲタ醤油では人日の節句に発酵を促す櫂入れ、上巳の節句に諸味の発酵状況の確認、端午の節句に高家神社へ諸味の奉納、七夕の節句に秘伝の米麹添え、重陽の節句に高倍神社(前述の高家神社の分祀社)に奉納後、蔵出しをする。

高倍同様、素材となる大豆、小麦、塩はすべて国産素材のみを使用。「富山県産の大豆『エンレイ』、北海道産の小麦『春よ恋』、香川県産『瀬讃の塩』を使用しています。あとはヒゲタ秘伝の米麹を入れることで、よりマイルドな奥深い味わいになります」(常陸さん)

通常タイプと生醤油の二種類がある玄蕃蔵

玄蕃蔵には通常の醤油、玄蕃蔵生(税込み2100円、450ml密封ボトル入り)の2種類があります。

まず通常の醤油と生醤油の違いについては、「製造工程で微生物を取り除くために火入の有無ということです。火入れした醤油は香ばしさ(火香)がついて、しっかりした味になりますが、生醤油はさらっとした味わいです。生醤油は火を入れる替わりに、ろ過によって微生物を取り除いています」(常陸さん)

火入れをする伝統製法にこだわって仕上げた玄蕃蔵と最新の技術で火入れをしない「生」で仕上げた玄蕃蔵生。どちらも美味しそうですが、それぞれ玄蕃藏と玄蕃蔵生はどのような料理に合うのでしょうか。

「しっかりした濃厚な味わいの玄蕃蔵はお刺身ですとマグロの赤身が合います。一方、玄蕃蔵生は色味もあざやかでさらりとしています。白身のお刺身や、だしの香りを生かしたお鍋がおすすめです」 (常陸さん)

2013年に販売を見合わせたことも

常陸さんによると、2013年にはもろみの発酵が順調に進まず、ヒゲタの考えている品質に達しなかったことから、販売を見合わせたと言う玄蕃蔵 。「毎年お申込みいただく方からは、前年の醤油の出来の感想をいただくことも多く、身が引き締まる思いです」。醸造という自然がもたらす営みで、毎年違うものが出来上がるのも玄蕃蔵の魅力。その味や品質に期待するファンも多いようです。

玄蕃蔵の申し込みは7月末まで、高倍は申し込みが9月上旬から始まり同月末までの受付予定です。食欲の秋や年末年始のご馳走に備え、皆さんも今から準備してみてはいかがでしょうか。

文/山本孟毅、写真提供/ヒゲタ醤油、高家神社

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