ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

【ティモンディ前田裕太の“おとな”入門】第13回 「人付き合い」編(2)七夕に、他人の短冊から学ぶ人付き合い

ティモンディ前田裕太

他人の短冊で人の優しさに触れる七夕 いよいよ七夕。 この季節になると、高円寺の駅には、大きい笹が設置され、みんなが短冊に願いを書いたものが飾られる。 人付き合いに対して億劫になってしまう私はいつも、見識を広げるために、飲…

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お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代を目前にした前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
今回は、「人付き合い」編の第2回。今日7月7日は、七夕ですね。駅に吊るされた短冊を見ていた前田さんが見つけたのは、どこかの子供が書いた願い事。その思いがけない内容から、自分の人付き合いの狭さを省みることになったお話です。

友達100人いなくても、9人いれば野球はできた

私は友達が少ない。

世の中には色んな思想を持った人間がいて、友達が多ければ多いほど、その多様性に触れられる機会も多いのだろうけれど、私は選り好みをし、偏ったコミュニティを形成しているので、自分とは違う考えを持った人間の深い思想を知る機会が多くはない。

推奨されるべきではない姿勢なのは分かっている。

ただ、友達100人できるかな、と周りが言っている時に、友達100人いなくとも、9人いれば野球は出来るし、そもそも自身に意識を向けるべき、と思っていた私にとって人付き合いはそこまで必要性のあるものだと思っていなかった。

理想の大人は、単に寛容であるだけではなく、色々な思想に触れて、知見を広げている人だと思う。

そう思うと、私は心の持ちようは寛容であろうとはしているものの、結局のところは小さな世界で知った気になっているだけの坊主。

“胃”の中の蛙だ。このままでは狭い見識の中で胃酸に溶かされて死を待つのみである。

いつか死するとしても、その日が来るまで見識を広げて、せめて“井”の中くらいまで感性の幅を広げなければならない。

他人の短冊で人の優しさに触れる七夕

いよいよ七夕。

この季節になると、高円寺の駅には、大きい笹が設置され、みんなが短冊に願いを書いたものが飾られる。

人付き合いに対して億劫になってしまう私はいつも、見識を広げるために、飲みの場に行かない分、人付き合いの代わりとして、世の中の人たちがどんな願いを短冊に込めているのかチェックするようにしている。

世論調査のようなものだ

ここからは前田調べになるのだけれど、第一位は「他人のために書かれた短冊」だった。

家族が元気にいられますように、とか、病気が治りますように、とか、推しが幸せでいられますように、とか書いてあるのが多い。

短冊を見ることで、そんな心優しい人が世の中に多いことがわかる。

仕事をしていると、世の中にそんなに優しい人がいるなんて分からないけれど、世の中の多くは誰かのことを思いやって、願いを書くときに誰かの幸せを祈る人が多いことがわかる。

世の中捨てたもんじゃないなって、七夕が来ると感じる。

第二位は「私欲剥き出し短冊」である。キンプリのライブのチケットが当たりますように、とか、好きな人と付き合えますように、とか、志望校に合格だの、そんな自分の願いが書かれている。

私は人間らしくて、こういう類いの短冊には好感が持てる。

願いが叶うのだとしたら、自分の幸せに直結する自分自身の願いを書く人は健全だと思うし、人目に触れるものなのに、素直にその欲望を書けるのはいいことだと思う。

「子供の短冊見て我が人付き合い直せ」

ただ、この手の短冊には、子供の純粋すぎるが故に、大人がひとこと言ってやってもいいのではないか、と思う願いが書かれている場合もある。

最近覚えた子供の拙い文字で「イタリアになりたい」と書いてある短冊を見たことがある。見てて笑えたけれど、冷静に考えるとぶっ飛んだ子だ。

イタリア人になりたいのであれば、国籍を変えれば叶うけれど、イタリアそのものになるには些かハードルが高い。遺骨をイタリアに撒いてもらい、その地の一部になることは叶うかもしれないけれど、現実的ではない。

もっと、世の中には素敵なものがあるよ、色々な人と触れ合って、世界を知って、選択肢がたくさん世界にはあるんだよ、ということを知ってほしいな、という気持ちになった。

だが、どうだろう。

そこまで積極的に色々な人と話をしたり、見識を広げようと活動をしていない私も、結局のところはその子と同じなのではないだろうか、と思う。

何せ人付き合いを避けている“胃”の中の蛙なのだから。

流石にイタリアになりたいとは思わないけれど、その子と大差ない。はたから見れば、前田、もっと世界を知るべきだ、と思われても然るべきな気もしてきた。その子も私も、もっと人付き合いをして世間を知るべきなのかもしれない。

人のふり見て我がふり直せ、ということわざが古くからあるように、子供の短冊見て我が人付き合い直せ、と自身の身の振り方を改めさせられる、そんな七夕でした。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。

ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約25万人。

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