沖縄から全国の食卓へ! 苦みが旨い「ゴーヤーチャンプル」 クッキングパパ特製レシピで「ああっ苦い!!」

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第24回は「ゴーヤーチャンプル」です。

ピーマンより人気! 「夏に食べたい味覚」7位と健闘!

ゴーヤー(ゴーヤ)は、ニガウリとも呼ばれ、沖縄を代表する作物ですが、近年、夏場に各地の庭先でゴーヤを栽培することで部屋の温度上昇を抑制する“緑のカーテン”の普及で、広く扱われるようになりました。

月島食品(本社・東京)が2022年5月、10代から50代までの各世代・性別ごとに各10人計100人に対し「夏に食べたい味覚」について調査したところ、「夏野菜」部門で1位「キュウリ」、2位「トウモロコシ」「枝豆」と並び、「ゴーヤ」は7位と健闘。

ゴーヤと同じく苦味があって敬遠されがちなピーマン(10位)より上位に入り、意外な知名度と人気の高さを見せつけました。

クッキングパパ第55巻「COOK.546 夏を乗り切れ!ゴーヤーチャンプル」では、ゴーヤをメインに良質なタンパク質の豚肉、豆腐、卵を炒め合わせた沖縄の郷土料理でもある一皿を紹介しています。

苦味が堪らない「栄養の宝庫」クッパパ流ゴーヤーチャンプル

作中では珍しく荒岩ではなく、金丸産業の営業二課で主任を務める「けいこちゃん」がふるまったレシピが紹介された(クッキングパパ 「COOK.546 夏を乗り切れ!ゴーヤーチャンプル」より)

独特の苦味で好き嫌いが分かれるゴーヤですが、「良薬は口に苦し」。苦味には胃腸の働きを助け、食欲を増進させる効果があるほか、体にこもった熱を冷ますといった夏野菜の王様たる効能が隠されているのです。

下ごしらえで縦半分に切って、苦味の元となるワタとタネをしっかり取くと、グッと食べやすくなります。

後は、具材を順番に炒めるだけ。はじめに豚肉を入れてしっかり火を通したら、豆腐を加えます。ここではあまりいじらずに焼き色がついて熱くなるのを待って、ゴーヤを投入します。サッと炒めて鮮やかな緑色になるぐらいが目安です。シャキシャキした食感を楽しみましょう。

ゴーヤにはまた、美肌作りに欠かせないビタミンCがたっぷりと含まれ、アンチエイジング効果のあるβカロチンも豊富ですから見逃せません。しかも、ビタミンCは、炒めてもほとんど失われませんし、βカロチンは油と絡めると吸収率がアップしますから安心ですね。

ゴーヤの本場!“長寿王国”沖縄で変化 男性平均寿命No.1から36位に転落

クッキングパパ 「COOK.546 夏を乗り切れ!ゴーヤーチャンプル」で描かれたゴーヤーチャンプル。沖縄の伝統食はいまふたたび注目の機運が高まっている

2022年、本土復帰50年を迎えた沖縄ですが、半世紀の間、食生活を取り巻く環境は大きく変わりました。

かつて、長寿=Okinawaとして世界的にその名を誇った沖縄では、「長寿の秘訣は食にあり」と言われ、ゴーヤのほかアグー豚、島豆腐、モズクなどを使った独自の食文化が発達していました。

しかし、米軍基地を多く抱える影響は食生活にも及び、早くからファストフード入ってきたりして、食生活の欧米化が次第に加速していきました。高脂肪食であるファストフードは肥満率を高め、生活習慣病を引き起こし、健康被害を生むのは周知のとおりです。

実際、厚生労働省が公表している都道府県別の平均寿命の統計をみると、1975年の統計開始時は男性が10位でしたが、80年、85年と1位へのし上がり、1990年には5位に転落。さらに2000年は26位と初めて全国平均を下回り、2015年には36位まで大幅に下落しました。

一方、女性も統計開始以来、2005年までトップの座に君臨し続けてきましたが、2010年3位に下がると、2015年は7位と男女とも過去最低となりました。他の都道府県同様、平均寿命こそ伸びてはいるものの、伸び幅が年々小さく抑えられているのです。

要因のひとつとして考えられるのが、男女とも65歳未満の死亡率がワーストと、主に生活習慣病に起因する健康被害が深刻である点です。

こうした状況に危機感を募らせてきた沖縄県では、いま、官民一体となってかつての“長寿王国、沖縄”を復活させるべく「2040年に男女とも平均寿命日本一」を長期目標としたプロジェクトが、あちらこちらで動き出しています。

特に若い世代の食習慣を見直すべく、小学生から健診結果を活用して栄養状態の改善に取り組むことで、親世代の意識改革も促しています。「ゴーヤーチャンプル」のような伝統食の良さも見直されつつあります。

沖縄で起こっている食習慣をめぐる事態は、現代人への警鐘でもあります。酷暑のさなかだからこそ、夏バテ防止に効く食材を積極的に取り入れるなど、ライフスタイルを総点検して、さらに健康を意識した毎日に努めていきましょう。

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年4月現在、単行本は161巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.546 夏を乗り切れ!ゴーヤーチャンプル」を一話丸ごと読むことができます。

この記事のライター

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