インスリンの初投与は100年前、カナダの研究者らがノーベル賞を受賞
1921年、カナダで開業医をしていたフレデリック・バンティング医師は、ある論文から着想を得て、トロント大学のマクラウド博士の研究室で、糖尿病の研究を始めます。当時糖尿病の治療は減食療法のみで、有効な治療法はありませんでした。特に若年層の1型糖尿病患者は死亡率が高かったそうです。
バンティングは同年、助手の学生チャールズ・ベストやマクラウド博士らの協力により、インスリンを発見。1922年に初めて糖尿病患者にインスリンが投与されました。その後わずか数カ月でインスリンは大量生産されるようになり、多くの糖尿病患者の寿命が大幅に延びることとなりました。
1923年、バンティングはマクラウド博士と共にノーベル生理学・医学賞の栄誉に輝きます。発見の翌年という異例の早さでの受賞は、その功績がいかに大きなものであったかを物語っています。インスリンの発見は、20世紀における医学界最大の功績の一つとされており、この画期的な発見に敬意を表し、バンティング医師の誕生日が世界糖尿病デーとなりました。
国際糖尿病連合(IDF)と世界保健機関(WHO)は、世界に広がる糖尿病の脅威に対応するため、1991年に「世界糖尿病デー」を制定しました。2006年には国連総会で「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」が加盟192カ国の全会一致で採択され、同時に世界糖尿病デーが国連の記念日として公式に認定されました。
世界糖尿病デーは、現在では世界160カ国から10億人以上が参加する世界有数の疾患啓発の日となっており、11月14日には国連及び主要国で、糖尿病の予防、治療、療養を喚起する様々なイベントが開催されます。(参考[2])
(参考)
[1] 世界糖尿病デー 公式ホームページ(世界糖尿病デーイベント実行委員会)
https://www.wddj.jp/
[2] 「世界糖尿病デー」について
https://www.wddj.jp/01_howto.htm
[3] IDF Diabetes Atlas | Tenth Edition
https://diabetesatlas.org/
[4] 平成28年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf
[5] 国際デー|国連広報センター
https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/days/