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月刊誌『おとなの週末』の好評連載「口福三昧(こうふくざんまい)」(計146回)は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラズウェル細木の漫画エッセイ グルメ宝島 美味しい食の探検へ』(講談社ビーシー/講談社)が刊行されました。単行本未収録の雑誌掲載作を『おとなの週末Web』で特別公開します。ラズウェルさんの“自作解説”とともに、お楽しみください。

私的シロート寿司屋「ラ寿司」を“開店”

今回ご紹介するのは、「自宅で押し寿司を作ってわかったこと」の回(『おとなの週末』2021年12月号掲載)です。

この連載の第1回で、「づけ」を取り上げたとき、ラズウェルさんが自分のためだけに寿司を作る「ラ寿司」について、触れました。「ラ寿司」とは、2カ月に一度ぐらいの頻度で、ラズウェルさんが自宅で“開業”する「私的シロート寿司屋」のことです。

「今も2カ月に一度は握っていますね。編集者たちに1回だけ握ったことはありますが、基本は、自分で食べたいときに“開店”します。記念日とかではないですね。今日は、寿司を握って食べたいなあと思ったときに、ですね」

ラ寿司を始めたきっかけは、なんだったのでしょうか。

「よく思い出せないんですが、10年以上はやっていますね。そもそものきっかけも思い出せません。昔から握り寿司を作りたいなと思っていたんですが、なんで始めたのか。握り寿司をあるとき始めてみようかなと思って、握り方の本を買って、見ながら始めたんですよね」

自分で握った寿司の自己評価について訊きますと、「いつも食べて、あー美味しいなと思いますね。いろんなネタを握りますけど、どれも美味しいなって」。特に好きなネタは、「煮ハマグリ」と答えてくれました。

「マグロだと、切るだけですが、ハマグリは身を開いて、調味液に漬けて、そこに浸したりして、非常に手間がかかります。いわゆる江戸前寿司。手間がかかる分だけ、美味しいです」

初めての笹漬けの押し寿司

ラ寿司では、主に握り寿司が作られますが、たまにそれ以外の寿司も登場します。そのひとつが、今回のテーマの「押し寿司」というわけです。押し寿司のポピュラーな例としては、〆サバをのせたバッテラでしょう。ただ、今回挑戦したのは、笹漬けを使った押し寿司です。

笹漬けといえば、「小鯛の笹漬け」。福井県小浜市の郷土料理です。「7から8センチの小鯛を3枚におろし、うす塩と酢に漬け、ささの葉を添えて、杉の木の香りが漂う小さな樽に詰めて作られます」(小浜市のホームページより)。

ラズウェルさんは、笹漬け3種のセット(小鯛、マアジ、ノドグロ)を用意しました。漫画では、箱枠に底ブタをセットしてキッチンペーパーを敷いた上にネタを裏返しに並べていく様子が描かれています。

「押し寿司用の箱を買ってから、押し寿司は何度かやっています。ただ、笹漬けを使ったのは初めてですね」

笹漬けの押し寿司は見事に完成。しかし、その後に難関が……。食べるサイズに、うまく切れないのです。包丁を濡れ布巾で拭きながら切るのですが、見た目は、惨憺(さんたん)たる結果に。ラズウェルさんは、漫画の中で、「味はいいはずなのにぜんぜん美味しくない」と嘆いています。料理における見た目の重要性が伝わってきます。

「特に寿司は見た目が大事だと思います。そういうジャンルだと思う。きれいな姿をしているほうが、やっぱり寿司だなと。いわゆる名人といわれる人の寿司は、やっぱり美しいです。押し寿司にしても、きれいな断面、カタチも四角でないと、美味しく見えませんもん」

今回使った3種類のネタで、一番好きなのは「小鯛」だそうです。「小鯛が美味しいですね。笹漬けのメインは、小鯛ですしね」

今後のラ寿司開店の予定については、「9月にやったので、近々やりたいですね」とのこと。開店の時間帯は「晩酌の時間帯」。「お酒のつまみにするのは、サイズが小さめがいいので、しゃりは小さめを心がけています。つまみには、やはり、小さいのがいいですね」

笹漬け押し寿司が作られる様子は、ぜひ、漫画でご確認ください。

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おとなの週末Web編集部 堀
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