蕎麦屋の老舗から新店までぶっちゃけ座談会『おとなの週末編集部』が本音で語り合った!

「おとなの週末」のライター・菜々山、肥田木、岡本、井島、藤沢、さらに編集・武内と大人数での覆面座談会。蕎麦屋の傾向から各自が出合ったお気に入りまでざっくばらんに語り合います! 液体で液体を楽しむにはまだ早い!?︎ 武「秋…

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「おとなの週末」のライター・菜々山、肥田木、岡本、井島、藤沢、さらに編集・武内と大人数での覆面座談会。蕎麦屋の傾向から各自が出合ったお気に入りまでざっくばらんに語り合います!

液体で液体を楽しむにはまだ早い!?︎

武「秋ですね。秋といえば新蕎麦。恒例の蕎麦特集でございます」

全員「イエ〜イ!!」

武「皆さん、そんなに蕎麦が好きなんですか?」

肥「そりゃ、そうでしょ、だってねえ?」

菜「蕎麦屋で飲むって最高じゃん。しかもそれが平日の昼ならなおさらだよ。世間の皆様が働いて下さっている中、蕎麦前からしっかりいただいて、日本酒でホロ酔い。千鳥足で帰って昼寝する。こんな快楽ってほかにある?」

武「ダメ人間を極めていますな」

岡「この流れで、今回の取材で出合ったみんなのお気に入りの蕎麦前について聞かせて」

井「じゃあ、私から。西浅草の『おざわ』。ここはサクッと蕎麦を食べて帰っちゃうお客さんが多いみたいだけど、自家製の卵黄の味噌漬けとか山芋豆腐とか、蕎麦前が優秀なの〜」

『手打蕎麦 おざわ』太打ちざる 950円 この日は北海道沼田産の蕎麦

藤「私からはダシ系の蕎麦前を。日本酒を飲んでいると、ダシが欲しくなるんですよ。『ぎん清』のダシに浸ったぷるとろの卵焼きや、『甲賀』の天吸いなんかを食べるともう幸せ。ダシをすすりつつ日本酒をクッとやりたい酒飲みの気持ちがわかっているからこその秀逸なメニューだと思います」

菜「まだ20代なのに液体をつまみと捉えるなんて、緑彩、恐ろしい子……(ガラスの仮面)」

岡「液体で液体(酒)を飲むのは35歳を過ぎてからにしなはれ」

『おそばの甲賀』蕎麦前コース 3300円 前菜3種盛り(奥)カラスミ蕎麦 蕎麦前コースの4皿

肥「私はねえ、深大寺近くの『湧水』の大海老天。もう身がぶりんぶりん。これに日本酒をくいっとやれば……、あ〜また食べたい、飲みたい。それと川崎大師の『松月庵』。名物の『天ぷらそば』の大海老天も圧倒的迫力だった。ほら、よく蕎麦屋の海老天って、衣ばっかでエビは爪楊枝サイズ。“チッ”なんて舌打ちすることもあったりするでしょ。ここは衣でごまかさずマジで身が大きいから!」

菜「奈々ちゃん、アナタあきれるほどエビ好きだよね(笑)」

肥「大好き。そうそう、いく子ちゃんのお気に入りの蕎麦前は?」

菜「そうだねえ、『ひら山』の穴子の煮こごりが今回の王者かな。寒天みたいな硬い食感じゃなく、やっと固まっているくらいトロトロで、じわ〜と舌の温度で溶けたところに、お酒をクィってね」

藤「うわ〜、聞いているだけでやばいです!よだれが出ます」

菜「あと『やましん』の『生ポテトサラダ』。千切りして水にさらした生のジャガイモがシャキシャキで、その上には揚げたジャガイモがザクザク。ふたつをまとめるのが、半熟とろとろの黄身。これはワインが飲みたくなった」

武「ボクは浅草の『丹想庵 健次郎』がイチ押しです。蕎麦前はどれを食べても美味しい上に、日本酒も充実。今度は仕事抜きでここで痛飲したいなあ。って、お酒とおつまみのことばっかり話し合っているけど、蕎麦やお店のことについても教えてください!」

岡「たまたまだけど、私が取材した3軒のうち、2軒がいわゆる地方インスパイア系」

藤「二郎ではなく?」

岡「地方よ、地方。『矢来山房』のご主人は、茨城の名店「慈久庵」のお客さんから蕎麦の世界へ入った人だったし、『ウメバチ』 は、福岡の名店『信州そば むらた』で修業後、東京へスカウトされてやって来た蕎麦職人さんだった。地方の蕎麦屋の層の厚さを改めて感じた取材だったなあ」

井「江戸前の蕎麦とは味が違う?」

岡「地域性ということではないんだけど、東京以外のお蕎麦屋さんにも実はすごいところがいっぱいあるんだと知ったというか。そこからさらに皆さん、個性的に変化させているのが面白かった」

菜「そういえば、私が取材した中でも、郷土蕎麦を出す店があったよ。門前仲町の『玄庵』は、出雲の釜揚げ蕎麦と、割子蕎麦もある。店主が鳥取の出身なの。それはそれとして、普通の二八も打っていて、こちらも完成度がハンパないから、どれを食べようか迷うんだなあ」

『深川玄庵』釜あげそば 950円 ツユを丼に流し入れ、好みの濃さにして汁ごと食す

武「そういえば、沼袋の『一鬼』でも、秋から春までは釜揚げそばを出してますよね」

菜「そうそう、ここのご主人も山陰に近い山口の出身。ツユが江戸前とはちょっと違って、醤油の風味が淡いの。こういう蕎麦もいいな、と思ったよ」

口福に旅気分まで門前町は侮れない

岡「私たちは新店の担当だったけど、今回は門前町のお店も取材しているんだって?」

武「そうなんです。“ご利益蕎麦”として紹介しています。初詣の帰りにでも、楽しんでもらえたらなと思って」

菜「ほほう。で、ご利益あった?」

肥「まだない!けど今年中に絶対あるはず。デートした〜い」

藤「すぐに素敵な人が現れますよ」

井「そうそう、奈々ちゃんキュートだもん」

肥「うう(泣)、皆ありがとう」

武「あの〜、お店のこと……」

肥「分かってるってば!参道とか、神社仏閣のそばって、やっぱり蕎麦屋さんが多いイメージあるよね。蕎麦だけに(笑)」

全員「……(オヤジか)」

肥「今回、深大寺は初めて行ったんだけど、都心からすぐなのに自然豊かで旅気分を味わえる。家族で行っても、それこそデートにもおすすめだよ」

岡「ええっと、蕎麦の取材だったんだよね?」

肥「もちろん、とびっきりの店を選んできましたとも!まずはさっきも話に出た『湧水』ね。海老天も、他のおつまみもおいしいけど、蕎麦も香り高くて文句なし。ここは行列しているけど、並んでも食べて欲しい。そして『一休庵』。玄蕎麦を石臼挽きで自家製粉してるんだけど、十割、九割、八割と3種を打ち分けていて、粉の配合も全て変えているから個性が違って楽しい」

菜「へえ、それは出かけてみたくなるね」

肥「観光地の蕎麦屋だと思って侮ってはいかんよ」

老舗では雰囲気も味わうべし

武「今回の特集では、他にも老舗も改めて取材しています。特に『かんだやぶそば』は凛とした雰囲気が心地いい。何となく江戸の人はどんな会話をしながら蕎麦を楽しんだんだろうなんて思いを馳せてました。きっと“ちょいと先の小間物屋の女中がえらくべっぴんなんだよ”とか“うちの旦那さん、給金あげてくれないもんかね”なんて、今とそんなに変わらない会話だったのかな、とほくそ笑んだりして」

菜「あたし『かんだやぶそば』に行くと、“都心にこんなに広い土地があるなんて、固定資産税払うの大変だろうな。でも値段は高くないから良心的だな”と思ってる」

武「風情一切なしですね。まあ、でも最近はシャンパンを出す店なんかも出てきたりして、一部で高級化が進んでる傾向も。蕎麦は庶民の食べ物。いつでも気軽に楽しめるご馳走であり続けて欲しいなと思います」

『総本家更科堀井 麻布十番本店』そばがき 1240円 挽きぐるみ、挽き立ての粉を使うので、もっちりした食感の中に、蕎麦の香りがしっかり感じられる

藤「たまにいいことを言う」

井「普段はドビー(ハリーポッターに出てくる妖精)のモノマネしかしないのにね」

肥「こんなにいい店を見つけたんだから、今年の忘年会はこの中のどこかの店でやろうよ。ドビー抜きで」

武「それはいいですけど、飲み過ぎてお店や他のお客さんに、絶対に迷惑かけないで下さいね

全員「は〜い!」

文/菜々山いく子

※2022年12月号発売時点の情報です。

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おとなの週末2022年12月号

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