永六輔さんが全国に広めた「伊勢うどん」伊勢神宮の参拝時に寄りたい名店3選 

やわやわなうどんにたまり醤油とダシを合わせたタレでいただく。それが一般的なイメージの伊勢うどんですが、地元ではお店ごとに異なっています。現地在住のカメラマンから情報を得て、まだ見ぬ伊勢うどんを大調査!伊勢神宮お詣り時に行…

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やわやわなうどんにたまり醤油とダシを合わせたタレでいただく。それが一般的なイメージの伊勢うどんですが、地元ではお店ごとに異なっています。現地在住のカメラマンから情報を得て、まだ見ぬ伊勢うどんを大調査!伊勢神宮お詣り時に行きたくなる店が大集合です。

『伊勢うどんのまめや』大きな伊勢エビが殻ごと一尾のった縁起の良い一杯

1923(大正12)年創業の老舗店。現在は東京や愛知で修業した4代目の豆谷清好さんが店を切り盛りしている。「創業以来、自家製麺にこだわってきました。小麦粉は三重県産のあやひかりを使っています。他の小麦粉と比べると保水力があるので、食感も柔らかくなります」と、豆谷さん。

伊勢海老うどん 時価

『伊勢うどんのまめや』 伊勢エビの天ぷらは、衣の中に旨みを封じ込めているため、濃厚な味わいが楽しめる。殻や尾も揚げているので香りも存分に堪能できる

自慢の麺は、1時間も茹でているにもかかわらず、しっかりとエッジが立っている。ふんわりとした食感と、ムロアジとソウダガツオのダシが効いたタレとのマッチングは絶妙だ。シンプルな「伊勢うどん」(650円)から伊勢エビの天ぷらを丸ごとのせた「伊勢海老うどん」(時価)などメニューも豊富だ。

『伊勢うどんのまめや』

[住所]三重県伊勢市宮後2-19-11
[電話]0596-23-2425
[営業時間]10時〜15時、17時〜19時半、土・日・祝10時〜19時半
[休日]火
[交通]近鉄山田線ほか伊勢市駅近鉄側出口から徒歩5分

『ちとせ』永六輔さんが惚れ込んだ味

約50年前、ここのうどんに惚れ込んだ作詞家の永六輔氏がラジオや雑誌で紹介したことから「伊勢うどん」の名前が広がった。「今でもお客さんから、『永六輔さんのラジオを聴いた』と言われます。本当にありがたいことです」と、店主の藤原善則さん。

伊勢肉月見うどん 930円

『ちとせ』伊勢肉月見うどん 930円 伊勢うどんに肉をのせたのもここが発祥。地元代議士のリクエストから生まれたとか。さらに生卵をのせた「伊勢肉月見うどん」は、一番人気のメニュー

ふわふわの麺にしっかりと絡むタレに少しとろみがあるのは、タレを煮詰めてあるから。さらに2日間寝かせて完成したタレは、ダシの味と香り、辛み、甘みのバランスが秀逸。具なしの「伊勢うどん」はもちろん、「伊勢肉月見うどん」の生卵とダシで煮込んだ牛肉をタレで絡めて食べるのが最高だ。

『ちとせ』

[住所]三重県伊勢市岩渕1-15-11
[電話]0596-28-3879
[営業時間]11時〜14時半※土、日は〜16時
[休日]火・水
[交通]近鉄山田線宇治山田駅から徒歩5分

『山口屋』趣向を凝らしたオリジナルで伊勢うどんの魅力を発信!

やや辛めのタレとモチモチの自家製麺のマッチングに定評がある伊勢うどんの有名店。ここだけのオリジナルメニューも人気だ。伊勢うどんの横にあられと熱々の茹で汁が添えられた「いせじまん」もそのひとつ。

伊勢では薄塩味のあられにお茶をかけて食べる風習があり、うどんを食べ終わったら、器にあられを入れて、茹で汁を注いで食べるのだ。極めつけは、客からの“全部のせ”のリクエストがきっかけで生まれた「ごちゃいせうどん」。

ごちゃいせうどん 1320円

『山口屋』ごちゃいせうどん 1320円 常連客の「ラーメン屋の全部のせのようにボリュームのある伊勢うどんが食べたい」というひと言から生まれた。麺が見えないほどの具材は圧巻だ

牛肉と海老天、揚げ、かまぼこ、麩をのせた、食べ応えのある一杯だ。濃厚なタレが絡んだ具材に思わず麺がすすむ。

『山口屋』

[交通]三重県伊勢市宮後1-1-18
[電話]0596-28-3856
[営業時間]10時〜18時(17時45分LO)
[休日]木 ※月1、2回連休あり
[交通]近鉄山田線ほか伊勢市駅JR側出口から徒歩3分

伊勢うどんを食べ歩いて良い年を迎えたい

伊勢神宮の参拝ついでに伊勢うどんを食べて、濃く太く長い人生を送りたい。とはいえ、名古屋在住の私は伊勢うどんのことをよく知らない。そこで今回は強力な助っ人を呼んだ。伊勢市在住で、伊勢神宮の写真を撮り続けているカメラマンの加藤直人さんだ。

伊勢神宮内宮宇治橋前の鳥居から昇る朝日。冬至(2022年は12月22日)の前後約1ヶ月のみ見られる景色だ 撮影/加藤直人

「伊勢うどんは江戸時代よりも前、農民がうどんに地味噌からできたたまりをかけて食べていたのが始まりなんですよ」と、加藤さん。江戸時代初期になると、カツオ節などダシを加えて食べやすくしたうどんを出す店が開業。伊勢神宮に向かう参拝者にも大好評だったという。

時代は平成となり、伊勢うどんを全国に発信しようという動きもあった。しかし、讃岐うどんとは対局にある、やわやわの麺に拒否反応を示す人も少なくはなかった。「潮目が変わったのは、9年前の式年遷宮ですね。記念にと多くの店がオリジナルの伊勢うどんを出しました。

平成となり、伊勢うどんを全国に発信しようという動きもあった。しかし、讃岐うどんとは対局にある、やわやわの麺に拒否反応を示す人も少なくはなかった。

『まめや』の伊勢海老うどんや『山口屋』のいせじまんがそれです」(加藤さん)なるほど、たしかに濃厚なタレが染みた「伊勢海老うどん」の天ぷらや「いせじまん」のあられも格別だった。伊勢うどんのタレは麺だけではなく、何にでも合うことがわかった。見た目も華やかで縁起物としても食べたくなる。

「ただ、私も含めて、地元の人はあまり食べないと思いますけどね。やはり、ふわふわの麺とタレのマッチングを楽しむのが伊勢うどんですよ。特に老舗の『ちとせ』はタレが抜群においしい。シンプルな伊勢うどんがおすすめです」と、加藤さん。申し訳ないが、卵と牛肉がのる「伊勢肉月見うどん」を注文してしまった。だって、あまりにも旨そうだったから(笑)。

少しとろみがあって、麺にしっかりと絡みつくタレ

加藤さんの言う通り、タレが旨い。少しとろみがあって、麺にしっかりと絡みつく。ダシの味と香り、辛み、甘みがうまくまとまっている。箸を持つ手が止まらないほど。いやー、本当においしい!

今回、紹介した店以外に3軒、計6軒の伊勢うどんを食べ歩いた。少し気が早いけど、来年は良い年になりそうだ。

取材・撮影/永谷正樹

※2022年12月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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