エリア拡大を視野「ユーザー登録者を増やし、より細やかな情報提供を」
「らくゆく」を運営しているのは、「東京都チャレンジドプラストッパン株式会社」(東京都板橋区)。凸版印刷株式会社、東京都及び板橋区との共同出資によって設立された重度障害者雇用のモデル企業です。
サイト発足は、同社の男性社員の熱き思いがきっかけでした。この男性社員は、車椅子で外出する際、情報があまりに不足している現状を痛感。利用できるトイレの場所が分かりにくかったり、実際に車椅子使用者専用トイレに入っても、内部が狭く使いづらかったりして困惑したといいます。
男性社員らは、「現地に出向いて情報を集め、自分たちの手で便利なサイトを提供しよう」と奔走。しかし、この男性社員はサイト開設を目前に亡くなります。
「彼の遺志を受け継ぎ、体の不自由な人達の日常生活の困りごとを改善して、積極的に外に出たり、安心して暮らせる社会にしようと日々努めています」。サイトの運営担当者、八尋洋光さん(52)は、言葉に力を込めます。
利用者からは、「外出する機会が増えて、さまざまな体験ができた」といった喜びの声が多く寄せられているといいます。
一方、地方のニーズを求める高まりを受け、八尋さんは今後、全国各地の車椅子ユーザーらの協力を得て現地の情報を集め、対象エリアを拡大したいと意気込んでいます。
「サイトを見て、ユーザー登録をする人が増えれば、現地からもっときめ細やかな情報提供ができます。ゆくゆくはひとり一人が自立して、能力が十分に発揮できる社会になるよう続けていきたい」(八尋さん)
【らくゆく】
https://rakuyuku.com
文/中島幸恵