免疫力を高めておけば、早い回復が期待できる
Q 野菜を食べて免疫力を高めておけば、感染しても早い回復が期待できますか?
A 「ただし、多糖類を吸収するのにも加熱する必要があります。でんぷんを考えてください。粉末のでんぷん(片栗粉)を水に溶かそうと思っても溶けませんが、加熱して初めて水になじんできます。寒天もテングサもそうです。加熱しないと溶けないのです。溶けないと腸内細菌の栄養にはなりません。私は野菜スープに、しいたけやまいたけなどのきのこを入れていますが、野菜スープで免疫力を高めておけば、たとえ新型コロナに感染しても、早い回復が期待できます」
前田教授の考えは、野菜スープがすべてではなく、野菜に含まれる抗酸化物質という“お宝”を無駄なく利用するには、「野菜は生で食べるな」というのが基本だった。つまり、野菜は煮て食べなさい、ということである。大事なのは、煮た野菜を「食べ続けること」だという。そうなると、一般的な煮野菜となれば料理の方法なども考えねばならず、毎日食べ続けるには、やはり作り方が超簡単なほうがいい。それが野菜スープだったというわけである。
寒い時期は「鍋」こそが最強の野菜スープになる
いっぽうで、健康のためとはいえ、同じスープだとやはり飽きてくる。「違った方法でスープを摂る方法はありませんか」と、前田教授に尋ねたことがあった。冬の頃だった。
すると、前田教授は笑いながらこう言ったのだ。
「この寒い時期、やっぱり鍋でしょう。鍋料理は最強の野菜スープですよ。鍋を囲んでおしゃべりしながら食べていたら、5分以上は煮込むはずです。食べる頃には野菜の細胞壁が壊れてファイトケミカルが外に出てきます。鍋の汁には野菜のビタミン類やポリフェノール、フラボノイドなど栄養素がたっぷり入っています。鍋の具を食べたあとで、最後にご飯を入れて雑炊にして食べませんか? 雑炊を食べることで汁を飲み干せば、野菜スープを飲むのと同じです。それに、野菜スープは野菜だけですが、鍋料理は種類によって魚や鶏肉、カキなどを入れますね。すると、タンパク質も同時に摂れるのですから、栄養バランスから言っても最強なのです」
野菜を煮込んだカレーも野菜スープと同じ
抗酸化物質などファイトケミカルを摂るには「野菜スープ」と思い込んでいる人も多いが、基本は野菜を煮込むことなのだから、鍋料理を含めて和食には野菜スープと同類のものはたくさんあるということだ。
考えてみれば、野菜カレーも同じだ。野菜を煮込んだあとカレー粉を入れるが、カレー粉の主成分はポリフェノールのクルクミンを含むターメリックだから、より多種類の抗酸化物質を摂ることができるはずである。