かつて「偏差値29」から東大理科二類に合格した伝説の東大生がいました。杉山奈津子さんです。その日から十うん年……現在は、小学生から高校生までを指導する学習塾代表として、心理学から導いた勉強法を提唱しています。その杉山さんが、受験生を持つ親に贈る「言ってはいけない言葉」と「子どもの伸ばす言葉」。近著『東大ママの「子どもを伸ばす言葉」事典』から一部を抜粋し、入学試験シーズン真っただなかに集中連載でお届けします。
怒りや悔しさの感情を受け入れてから、言葉をかける
かんしゃくを起こしているときの子どもは、心の中にモヤモヤとたまったものが、うまく整理できずに混乱してしまっている状態です。気持ちが整ってくれば落ち着くことができるので、まずは、「そうだね、悔しかったんだね」など、その感情にしっくりくる言葉をかけてあげてください。
乱雑になっている心の中を言葉でうまく整理するのです。「悲しいんだね」「怒っているんだね」と、気持ちを汲み取って、受け入れてあげることが大切です。
怒って興奮状態でいるときに、
「それはあなたがよくない」「そんなに怒るようなことじゃないよ」
など、否定的な意見をぶつけても、燃えている火の中に油を注ぐようなものです。冷静におとなしく聞き入れるわけがありません。自分の意見を伝えるのは、火を消してからにしましょう。
怒りの表現を制止することで、繰り返す場合がある
怒っているとき、子どもは大声をあげたり、床をバシバシ叩いたり、といったような行動で気分を晴らそうとすることもあります。
このとき、「大声を出さないで」「叩いてはダメ!」というように、怒っていることを表現する行動に対して注意してしまうと、子どもは、「注目してもらえた」と思ってしまいます。そのため、床を叩けば親にかまってもらえると考えて、今後も叩くようになってしまうことがあります。