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人為的につくられた種なしフルーツ

人為的につくられた種なしフルーツには以下のようなものがあります。

(1)種なしぶどう
種なしぶどうをつくる技術は日本で開発されました。種なしぶどうは、もともと植物が持つホルモンの一種「ジベレリン」を使って作られます。ジベレリンは成長を促進する作用があり、開花する2週間ほど前(受粉前)に、ジベレリン水溶液に子房を浸すと、受粉しなくても子房が肥大して果実になります。しかし受粉していないので、中に種子は出来ません(種なし処理)。花が咲きある程度子房が大きくなったころ、再び子房をジベレリン水溶液に漬けます(開花後処理)。これによって果実の肥大が良くなり、立派な種なしぶどうが出来上がるのです。ただし、処理に手間がかかるという問題があり、また味が落ちることがあるなどの理由から、すべての品種にこの方法が適しているわけではありません。なお、ぶどうの中にも、もともと種子のできにくい「トンプソンシードレス」などの品種もあります。

(2)種なしビワ
種なしビワをつくる技術は、千葉県で開発されました。二倍体ビワと四倍体ビワを掛け合わせ、三倍体ビワである「種なしビワ」がつくり出されました。種がないため、次世代は苗木から育てます。

(3)種なしスイカ
スイカの苗に「コルヒチン」という物質を使用すると、二倍体から四倍体になります。この四倍体スイカのめしべに二倍体スイカの花粉を受粉させると、その子は三倍体の「種なしスイカ」となります。スイカは野菜であるため、種ができない種なしスイカはこの代で終わりです。種なしスイカに関しては、コストがかかる、味が落ちる、種なしに対する違和感があるなどの理由から、種なしぶどうほど普及していないのが現状です。

以上のように、一口に「種なし」と言っても、その出来方はさまざまです。人為的につくられる種なしフルーツの場合、労力やコストがかかるために必ずしも生産者から喜ばれているわけでもないようです。フードロスの問題とも関わりますが、手間がかかるのを嫌い少しでも便利なものを求める消費者側の意識も考え直す必要があるかもしれません。

種なしスイカ

(参考)
[1] みかん(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1701/spe1_01.html
[2] 種がない柿があるのはどうしてですか(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0411/01.html
[3] バナナの植物学(日本バナナ輸入組合)
https://www.banana.co.jp/basic-knowledge/botany/
[4] 教えて!ぶどう先生(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/spe1_05.html
[5] 千葉県育成びわ品種「希房」(千葉県)
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/norin/nosan/ikuse/biwa.html

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圓岡太治
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