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京のお雑煮を求めて汁物で有名な割烹へ

お雑煮は全国各地でだしや具材もさまざまですが、黄みがかった白いお雑煮は京都の味。その「本物の京のお雑煮」を食べに、いざ……ということで訪れたのは汁物と茶事懐石風の「利久辨當(りきゅうべんとう)」が名物の割烹『志る幸』。

1932年(昭和7)創業。河原町通から細い通りを入ったところにある。大きく「汁」と書かれたのれんが目印
店内は能舞台を模した座敷を囲むカウンター席と、三条・五条大橋の欄干に見立てたテーブル席があり個性的な造り

例年2月いっぱいまで提供され、昼夜どちらの営業でも注文可能というお雑煮は、具材が丸餅ふたつのみという潔さ。仕上げに乗せられた刻んだ三つ葉と柚子皮、鰹節の香りがふんわりと立ちのぼります。汁は白味噌の甘さとコク、丁寧にひかれたダシの風味がしっかり感じられ、シンプルだからこそ素材の味が引き立つ味わい。

「うちは利尻昆布と枕崎の鰹節を使っており、多めのダシで伸ばしているのでさらりとした汁になっています。お雑煮は期間限定の提供ですが、汁物は通年で白味噌の味噌汁をお出ししています。味噌も出汁もお雑煮と同じものを使っていますので、期間外でも汁物でその風味はお楽しみいただけます」と語るのは店主の小堂修平さん。

風味豊かなダシで伸ばした白味噌のお雑煮(1200円・税込)は毎年12月から翌2月まで提供している。一品料理と合わせて、または利久辨當の汁物と差し替えで注文できる
2代目店主の小堂修平さん。「志る幸」という店名の由来は各自で飯を持ち寄り宴席の主人は汁のみを用意した「汁講」という風習から。一杯の汁におもてなしの心を込めています

店名でもお分かりいただけるように『志る幸』は汁物が有名なお店。注文する際に汁を赤味噌、白味噌、すましの3種類から選び、基本の具材である豆腐のほか、別の具材(別料金)も10種以上用意されています。蛤や甘鯛、鱧などの魚貝に惹かれますが、一番人気は丹波産の山芋をとろろ状にした純白の「おとしいも」だとか。芋の豊かな香りと粘りのあるもっちり食感が楽しめます。

単品のお料理も用意されていますが、多くの人はお膳に汁物が付く「利久辨當」(2700円・税込)がお目当て。ぜんまいの含め煮やサワラの柚庵焼き、完璧な半熟卵など、ひとつひとつ手間をかけた滋味深い料理が味わえ、ひっきりなしにお客さんが訪れるのも納得です。

「利久辨當」(2700円・税込)は、かやくご飯と肴5種のお膳に汁物が付く看板メニュー
会食などに使う和室のテーブル席へは奥の入口から。夜は季節の素材を丁寧に仕上げた懐石料理(要予約、1万1000円~税込・サ別)も用意している

……後編に続く。

本田味噌本店

住所/京都市上京区室町通一条上ル小島町558 
電話/075-441-1131
営業時間/10:00~18:00 
定休日/日曜

志る幸

住所/京都市下京区四条河原町上ルー筋目東入ル
電話/075-221-3250
営業時間/昼11:30~15:00(最終入店は14:00)、夜17:00~21:00(最終入店は19:00)
定休日/火曜夜、水曜、不定休
備考/懐石料理は要予約

編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希

※情報は令和5年2月13日現在のものです。

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おとなの週末Web編集部
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