京のお雑煮を求めて汁物で有名な割烹へ
お雑煮は全国各地でだしや具材もさまざまですが、黄みがかった白いお雑煮は京都の味。その「本物の京のお雑煮」を食べに、いざ……ということで訪れたのは汁物と茶事懐石風の「利久辨當(りきゅうべんとう)」が名物の割烹『志る幸』。
例年2月いっぱいまで提供され、昼夜どちらの営業でも注文可能というお雑煮は、具材が丸餅ふたつのみという潔さ。仕上げに乗せられた刻んだ三つ葉と柚子皮、鰹節の香りがふんわりと立ちのぼります。汁は白味噌の甘さとコク、丁寧にひかれたダシの風味がしっかり感じられ、シンプルだからこそ素材の味が引き立つ味わい。
「うちは利尻昆布と枕崎の鰹節を使っており、多めのダシで伸ばしているのでさらりとした汁になっています。お雑煮は期間限定の提供ですが、汁物は通年で白味噌の味噌汁をお出ししています。味噌も出汁もお雑煮と同じものを使っていますので、期間外でも汁物でその風味はお楽しみいただけます」と語るのは店主の小堂修平さん。
店名でもお分かりいただけるように『志る幸』は汁物が有名なお店。注文する際に汁を赤味噌、白味噌、すましの3種類から選び、基本の具材である豆腐のほか、別の具材(別料金)も10種以上用意されています。蛤や甘鯛、鱧などの魚貝に惹かれますが、一番人気は丹波産の山芋をとろろ状にした純白の「おとしいも」だとか。芋の豊かな香りと粘りのあるもっちり食感が楽しめます。
単品のお料理も用意されていますが、多くの人はお膳に汁物が付く「利久辨當」(2700円・税込)がお目当て。ぜんまいの含め煮やサワラの柚庵焼き、完璧な半熟卵など、ひとつひとつ手間をかけた滋味深い料理が味わえ、ひっきりなしにお客さんが訪れるのも納得です。
……後編に続く。
本田味噌本店
住所/京都市上京区室町通一条上ル小島町558
電話/075-441-1131
営業時間/10:00~18:00
定休日/日曜
志る幸
住所/京都市下京区四条河原町上ルー筋目東入ル
電話/075-221-3250
営業時間/昼11:30~15:00(最終入店は14:00)、夜17:00~21:00(最終入店は19:00)
定休日/火曜夜、水曜、不定休
備考/懐石料理は要予約
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希
※情報は令和5年2月13日現在のものです。