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米国の教授らが1950年代から疫学調査

地中海食は2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。当初はイタリア、スペイン、ギリシャ、モロッコの4カ国が登録され、2013年にポルトガル、クロアチア、キプロスが追加されました。

今でこそ健康食のモデルとされる地中海食ですが、かつて米国や北欧では、穀類、豆、野菜を多くとり、油脂としてオリーブ油を使う地中海沿岸地域の食生活を、経済的に貧しいがためのものという見方があったそうです。

地中海食が注目されるようになったのは、米国ミネソタ大学のアンセル・キース教授らが、イタリア、ギリシャ、旧ユーゴスラビア、オランダ、フィンランド、米国、日本の7カ国を対象として1950年代末から始めた疫学調査が発端です。この調査で、地中海沿岸諸国では、高脂肪食を食べているにもかかわらず、北欧や米国に比べ、血中コレステロール値が低く、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞などの発症が1/3以下であることなどが示されました。さらに、1975年にキース教授が地中海食のすばらしさをまとめた本を出版し、地中海食が健康食として一般に認識されるようになりました。

地中海食が健康食として世界に受け入れられたのは、栄養疫学的手法(ヒトを対象に得られたデータを分析し結論を導く手法)で研究が重ねられた結果です。ちなみに、「和食」も2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、健康食として世界に知られていますが、栄養疫学研究の実績(論文数など)という点では、地中海食には及びません。

健康食のモデル地中海食

(参考)
[1] 地中海食に関する認知文化経済的地理学研究に向けて
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2019s/0/2019s_238/_article/-char/ja
[2] 日本の長寿を支える「健康な食事」(農林水産省資料)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000003537s-att/2r985200000353cp_1.pdf

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圓岡太治
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