不忍通りを中心に千駄木エリアは、美酒佳肴の店揃い。夜は散策の〆に寄りたい店が並び、昼はお得なランチにお酒にも手が伸びるようなメニューを忍ばせる店がぽつぽつと……。どうにも酒好きにやさしい街なのです。今回は夜に行きたいお店…
画像ギャラリー不忍通りを中心に千駄木エリアは、美酒佳肴の店揃い。夜は散策の〆に寄りたい店が並び、昼はお得なランチにお酒にも手が伸びるようなメニューを忍ばせる店がぽつぽつと……。どうにも酒好きにやさしい街なのです。今回は夜に行きたいお店をピックアップしました。
【日本酒が進む美味揃い】
夜の帳が下りるとき、千駄木の街にポツポツと灯がともる―。行く先々で美味があり、それに合うのが日本酒、という店が一軒、二軒……。どこもついつい盃が進むこと間違いなしです。
『喜常寿司(きつねずし)』
ひとりでも家族でも訪れたくなる町寿司の名店
丸窓から中を覗くとカウンターもテーブルも屈託のない客の笑顔であふれていた。いい店に違いない、それが第一印象。数日後、暖簾をくぐればその予感は大いに的中した。つまみは身がぎっしり詰まった「本鮪かま煮」に、サメの心臓などの珍味と酒飲みの舌を喜ばせる一品がずらり。握りもそれぞれの身の張りに合わせて包丁を入れ、穏やかな酸味のシャリとの一体感を生んでいる。
特選きつね13貫 3800円
「うちは家族で楽しんでもらえる町の寿司屋ですから」と生まれも育ちも千駄木の店主・田中洋一さん。ネタに妥協なしでも懐にうれしき良心価格は、毎朝豊洲に足を運ぶ日々の努力の賜物だ。チビッコが好むコーンマヨやサーモンなどの気取らないネタも用意して待っていてくれる。
【日本酒にこだわりあり】
日本酒はその時々で入れ替えつつ常時7〜8種類を置いている。魚介やシャリとの相性を考慮して、ドライな味わいの銘柄が中心だ。中にはかなり珍しいボトルも用意しており、他に焼酎やワイン、果実酒と全方位の酒をカバーする
[住所]東京都文京区千駄木3-32-11
[電話]03-5809-0174
[営業時間]11時半〜14時(13時半LO)、17時半〜21時(20時半LO)
[休日]水、祝日の木
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅2番出口から徒歩1分
『ダモンデ』
王道×変化球の料理が酒を進ませる
店の雰囲気からしてここはカフェかビストロか。しかし品書きに目をやれば旬の食材を盛り込んだ折り目正しい和食の数々が並んでいる。アラカルトでいくって手もあるけれど、ゆるゆる酒盃を傾けるならコースに身を委ねてしまうのが吉だろう。店主・佐藤猛さんが作る料理は王道の日本料理がベース。
5品コース 3850円
しかし牡蠣の煮びたしにはオイスターソースのジュレをまとわせ、魚の酒蒸しには八角オイルで複雑な香りを持たせてと、ひと皿ごとに効かせた心地良いジャブが日本酒やナチュラルワインとの相性を一層高めてくれるのだ。コースの最後にカラスミや、ホヤ酢などの「アテ盛り」がやってくるのがこれまたズルい。〆に移るつもりが2杯、3杯とさらに酒が進んでしまうではないか!
【日本酒にこだわりあり】
冷酒はフルーティな香りのボトルから、昔ながらの造りの辛口まで幅広い味わいをラインナップ。さらに燗酒に向く濃醇系も常時7〜8種類あり、料理に合わせてチョイスできる。また赤・白・泡のナチュラルワインも計15種類ほど用意している
[住所]東京都文京区千駄木2-11-17 モンテベルデ千駄木101
[電話]03-6876-0332
[営業時間]17時半〜23時(22時LO)
[休日]不定休
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩4分
『炭火焼鳥 樫(かし)』
高コスパに味わえる比内地鶏の串にうっとり
最初にやってきた“もも”を食べた瞬間、いきなり心を掴まれた。皮はカリッと音がなるほどクリスプで、その下にひそんだ身は力強い弾力の後から、旨みの濃い肉汁が噛むほどに飛び出してきた。店主の富樫恵介さんは赤坂の有名店で10年間腕を腕き、慣れ親しんだこの地に自身の店を構えた。
おまかせ四本セット 1760円
使用する鶏肉は、ごく一部の串を除いてほぼすべてが比内地鶏にも関わらず、この値付けは破格だろう。しかも箸休めにもつまみにもちょうどいい漬物の盛り合わせや、ねっとり濃厚なきんかんの醤油漬けなど、串の合間に食べたい一品料理も気が利いていて、日本酒に手を伸ばさずにはいられなくなる。路地にこんな店がひょっこりあるから千駄木散策は面白い。
【日本酒にこだわりあり】
日本酒は1本飲み切るごとに入れ替えているので、その時々で銘柄は変わるが、だいたい13種類前後を揃えている。常時置く定番酒が「丹澤山」。燗にすれば旨みも香りもぐっと膨らんで、力強い比内地鶏の味わいによりマッチする
[住所]東京都文京区千駄木2-43-4 外波ビル1階
[電話]03-5834-2581
[営業時間]17時半〜23時(22時LO)
[休日]月
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩3分
『肉と日本酒』
コースの充実っぷりと酒の品揃えに大大大満足!
肉好きにとっても、日本酒好きにとっても、ここはまさにパラダイス!通常の焼肉店とは異なり、アラカルトは一切無しの、日本酒を中心とした飲み放題付きのコースのみで勝負する。その内容が圧巻のひと言なのだ。コースはご覧の豊富な前菜や一品料理から始まり、続いてやってくるのがタンの食べ比べ。
150分コース 8000円(飲み放題付き)
さらにタレ焼きの皿には赤身や霜降り部位、はたまた牛肉の銘柄違いを織り交ぜて、ひと切れごとに味わいの差を楽しめる。とどめに〆の牛丼とカレーはおかわり可能と何とも太っ腹。日本酒は都内の老舗酒店4軒が焼肉に合うようセレクトした銘柄が計60種類以上(!)と歓喜必至だ。料理のボリュームをやや抑えた90分間のショートコース(6000円)もあり。
【日本酒にこだわりあり】
『鈴傳』(四谷)、『中久本店』(府中)ほか名だたる老舗の酒販店4軒が15本ずつ、牛肉との相性や季節に合わせてチョイスした酒がずらり。客は冷蔵庫から好みのボトルを取ってきてセルフで飲むシステムだ。他に瓶ビールや焼酎なども
[住所]東京都台東区谷中3-1-5 ミハマビル1階
[電話]03-5834-7329
[営業時間]17時〜22時半、土・日・祝12時〜15時、16時〜22時半
[休日]月
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩3分
『鰻と地酒 稲毛屋』
極上のうなぎと地酒 やっと会えたね
味のある引き戸を開けると、すぐに焼き場。タレが焦げる香りに口元がジュワリ。手際よく焼く店主の當間さんの福々しい顔を見て確信する。「うなぎ×地酒」は幸せへの近道だと。早速、即いただけるにこごりを肴にのどを潤そう。うなぎの串焼きは、肝もいいが、あばら部分の小骨、これまた珍しいレバーは押さえたい。うなぎの隠れた魅力に開眼するだろう。
にこごり 730円、うざく 1700円、紅白焼 2600円
戦前からの祖業は鶏肉屋とあって、実は地鶏の旨さも格別。焼鳥屋の一面もあるなんて最高すぎるよ。日本酒は店主が蔵元を訪ね歩いて探した、「売れる売れないより自分が好きなもの」が常時40種ほど。蒲焼が焼き上がる頃にはきっと、極上の酔心地だ。ちなみに予約必須。幸せの扉は、まずそこから!
【日本酒にこだわりあり】
當間さんは地酒ブームに先駆けて、まだ無名の銘柄を自らの足と舌で厳選してきた。現在は超人気の「而今」もブレイク前から応援し、毎年「而今を味わう会」を開催するほど。「羽根屋」「飛鳥井」「松の寿」などもイチオシだ
[住所]東京都文京区千駄木3-49-4
[電話]03-3822-3495
[営業時間]11時半〜14時(13時15分LO)、17時〜21時半(20時半LO)※土は〜21時
[休日]水、月3回木
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅2番出口から徒歩6分
撮影/貝塚隆(喜常寿司、肉と日本酒)、小島昇(ダモンデ、樫、稲毛屋)、取材/菜々山いく子(喜常寿司、ダモンデ、樫、肉と日本酒)、渡辺高(稲毛屋)
※2023年5月号発売時点の情報です。
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