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『浅草 カツ吉』のとんかつを実食

名物の「味噌とんかつ」は、熱々をひと口頬張れば、味噌が芳しくふわりと香り、中から甘みのある味噌がたっぷりとあふれ出す。薄衣からはほんのりとゴマ油の風味も感じられる。

甘く芳醇な味噌がとろりと溢れる、風味豊かな「味噌とんかつ」
甘く芳醇な味噌がとろりと溢れる、風味豊かな「味噌とんかつ」

この日はもう1品いただいた。こちらも人気だという「梅とんかつ」(単品1520円)だ。

梅はその時々にベストなものを選んで配合。梅の甘酸っぱさと爽やかさが肉の甘みとマッチし、ご飯がほしくなる。そんなときは、プラス500円で定食にするのがいい。ご飯・味噌汁・漬物・コンニャク煮が付く。

梅肉と海苔が入りサッパリ。これからの季節にピッタリな「梅とんかつ」
梅肉と海苔が入りサッパリ。これからの季節にピッタリな「梅とんかつ」

同店のとんかつは国産豚を使用し、肉のジューシーさとサクサクとした衣の食感が特徴。植物油を使って揚げられているので、軽やかにいただけることも魅力だ。

添えられたケチャップ味のスパゲッティは郷愁をそそるし、たっぷりと盛られたキャベツもうれしい。

外国人観光客からのオーダーが多いのが「和鎖美(わさび)とんかつ」(単品1470円)。

「メニュー名は当て字なのですが、私の名前が隠されているんです。父が亡くなる前に残してくれたことがうれしくて

現在店を切り盛りする和美さんが最も注力しているのは、その味を継承すること

味が変わることを危惧し、フランチャイズ化はしないようにと先代からの言いつけもあったという、まさにここでしかいただけないとんかつである。

「独自性があり唯一無二の味で、50年続いてきているという自負があります。この味を愛してくださるお客さまを大事にしていきたいと思います」と話す和美さん。

「味を変えない」と言う老舗の多くも、時代に応じたアップデートは大なり小なり行っている印象だが、同店はどのように考えているだろうか。

私は温存したいと思っています。アップデートしたい気持ちもありますが、その時はまるっきり違うものをご提供したいんです。

お客さまの声にお応えすることが我々の責務です。お客さまの立場になった時のことを知るために自分が外に出て、他店さんを経験することも大切だと思っています」と和美さん。

これが初代からの味と暖簾を守り続ける、今の『カツ吉』の戦い方なのだ。

■『浅草 カツ吉』
[住所]東京都台東区浅草1-21-12
[電話番号]03-3841-2277
[営業時間:11時半〜14時半LO、17時〜20時LO
[定休日]木曜
[HP]https://asakusakatsukichi.wixsite.com/website

取材・撮影/市村幸妙

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市村 幸妙
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